アニメ技法の秘密その①絵に動きをつける技法『中割り』
初めまして、インターン生の吉田です。今回から数回に渡り手描きアニメーションで用いられる技法についてお話させていただきます。
本記事で取り上げるのはアニメーション技法の基本である、『中割り』についてです。
手描き作業によるアニメーションでは、動きを表現するために何枚も連続した動きの絵を連ねる必要があります。
動きの始点、終点の原画2枚を元に、その間に詳細な動作のコマを足していく技法をポーズ・トゥ・ポーズといいます。
昨今の日本の手描きアニメーションでは、ほとんどこの技法が用いられています。
この技法において、中間の動きを描き足していく作業や追加したコマのことを中割りといいます。
(動きの始点から順を追って描いていくストレート・アヘッド・アクションという技法もあります。)
アニメーションを作成する上で、基盤となるとても重要なものです。
中割りについて、実際の手順を例を用いて説明していきます。
【1】動きの始点と終点を描く
①→②↩
上記のアニメーションは、走りの動作で左足を手前に出す動きと右足を手前に出す動きを繋げた計2枚の画像のループです。
これだけでは、走っている動きを表現できていません。
それでは、この二枚の間にもう一枚、中間の動きを挟んでみます。
【2】中間の動きを入れる
①→➌→②↩
始点、終点共に地に足をついている動作だったので、足がついていないコマを中間に設置しました。
動きはカクカクしていますが、これだけでも走っている動作が伝わりやすくなりました。
更に始点と中間、中間と終点の間に2枚ずつコマを増やしてみます。
【3】細かい動作をつけたしていく
①→❹→❺→③→❻→❼→②↩
かなり滑らかで動作がわかりやすくなりました。
このように、アニメーションは中割りを増やせば増やすほど滑らかな動きになります。
しかし、場合によってはこれを故意に減らすことによって、表現したい動きに近づけることが必要となります。
①→⑤→③→⑦→②↩
こちらは、【3】のアニメーションから中割りを2枚抜いたものです。
比べてみると、【3】の動きより急いでいる、早く走っている動きに見えます。
このように、敢えてコマ数を減らすことで、激しい動き、早い動きを表現したり、動きにメリハリをつけることができます。
商業アニメーションでは、主に始点と終点の原画を原画マン、中割りを動画マンという役職の人が担当します。
動画マンには、元原画の画風やテクニックを動きの中に維持しながら、指示された動きを表現する役割が求められます。
どうしても原画担当のみが注目されがちな世界ですが、中割り作業も人々を魅了するアニメーションを作る上でとても重要な作業なのです。
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