油絵のひみつ「どの絵の具を使えばいい?」

こんにちは。インターン生の武井です。前回は油絵で使用する「油」についてのお話をさせていただきました。 今回は絵の具についてのお話です。

油絵を描くためには油が必要ですが、絵の具がなければ始まりません。画材店に買いに行きましょう。 さて、どの色を買えばいいでしょうか。
取り合えず赤から紫までの虹色を揃えて、黒と白があればいいという感じがしますね。絵の具セットはそのように構成されていると思います。
なんだ、迷うことはありませんね。では赤色から買っていきましょう。なになに、カドミウムレッドパープル、カドミウムレッドディープ、ブライトレッド、ピュアレッド、キナクリドン、アリザリン…。
どれにしましょうか…。画材店には、何社もの絵の具が、百色以上もズラリと並んでいるのです。お値段も変わります。
絵の具セットを買ってしまえばよさそうですが、高価な色が揃えられている場合が多いです。良い色であることには違いありませんが、必ずしも扱い易いわけではありませんし、お財布への負担も大きいでしょう。
メーカーには「安い方のセット」も用意されていると思いますが、こちらはおすすめしません。安いのは、安価な混ぜものの色で構成されているからで、使ううちに色の不純さに不満を覚えると思います。

では、どの色を選べばよいのか、具体的に紹介していきましょう。
まずはこの3色、(茶)PBr7  バーントシェンナ     濡れた土のような茶色
        (黄)PY43 イエローオーカー     乾いた地面のような黄色
        (青)PB29 ウルトラマリンブルー   深い海のような青色
これらの色に、 (白)PW6  チタニウムホワイト    があればよいでしょう。

これらは落ち着いた色ではありますが、基本的な3原色である「赤・青・黄」の組み合わせであり、混ぜて使うことで多くの色が生み出せます。
一見、鮮やかさが足りないように見えますが、画面に強力な色が必要でない限りは、この3色を使うことで調和のある雰囲気が絵に生まれるでしょう。

黒を加えてもよいですが、バーントシェンナとウルトラマリンを混ぜることで、透明感のある暗色を作り出せます。画面上で黒として働かせるにはこれで充分で、3色で作られた調和の中では単なる黒よりもよい働きをします。
黒を使うときは、余り白と混ざらないように気を付けてください。色に「黒と白を混ぜたグレー」の成分が含まれると、鈍くなって画面で浮いてしまうことがあります。
灰色を使いたいときは、3色を混ぜて彩度の低い色を作ってみてください。小さい頃、水彩絵の具の色を全部混ぜてみたことはありませんか?泥っぽい黒か灰色が出来たことと思います。
それは汚い色だ、と教えられたかもしれませんが、ある色の組み合わせで出来た世界の中では、純粋なグレーではない、色のついた灰色はむしろキレイに見えるもので、隣合う色を引き立てたり、色の調子を整えたりもしてくれる便利な色です。
私はこの色が大好きで、パレットの色を筆で拾う度にその灰色を混ぜています。私は彼を、色の調子はずれを整えてくれる指揮者のように思っています。

光の3原色は「赤・青・緑」です。上の3色では、青みはウルトラマリンブルーで強く出せますが、赤みと緑みは弱くしか出せません。
赤と緑を加えることで、上の3色で出来た世界を、より鮮やかな雰囲気にすることができます。

上記3色に、(緑)PG18 ビリジャン     深い、青寄りの緑
      (赤)PR254 ピロールレッド   原色より落ち着き気味の赤 を加えてみましょう。  
                                 
青色と黄色の混色では出せなかった、青緑色を使うことが可能になります。ビリジャンはやや高価ですが、これに代わる青緑色は他にないと思います。
合成色との違いがかなり大きいので、スクールセットを使っている方は、まずはビリジャンだけでもホンモノに替えてみてください。鮮やかさの差に驚かれると思います。
ピロールレッドは高い色ではありませんが、発色が良く、混色で肌色寄りにもワイン色寄りにも使えます。
ビリジャンとバーントシェンナを混ぜることで、新たな暗色も作り出せます。「暗い部分の色み」は、写真には無い深みを絵に与えます。パレットに出してある色を混ぜて作った暗色が、元の色を含む絵の中ではよい感じの暗部になると思います。

ほか、おすすめの色には(赤)PR101(102) テラローザやライトレッドもしくはインディアンレッドなどの酸化鉄系の赤色。サビの色と言うとイマイチなイメージですが、落ち着いた黄みの赤色です。
私が落ち着きのある色が好きなので、落ち着いた色ばかり紹介してしまいますが、

(茶)PBr7 バーントアンバー も持っていたい色です。焼いた茶色、という名前で、バーントシェンナより赤暗く、強い茶色です。
透明性があるので、乾いた画面の上に、乾性油を多めにしてこの色を薄く広げると、赤茶色のフィルターがかかって、絵の雰囲気が統一され、影が強まります。古典画のような強さが欲しい絵にはぴったりです。

紫色は総じて高価ですが、(紫)PV19 キナクリドンローズ は手が出しやすい色です。混色に使いやすい赤みの紫色です。
絵の中にビビッドな紫色をそのまま使いたい場合は、どうしても高級な紫色が必要です。混色では作り出せないからです。デザインポスターのような絵か、画題に含まれなければ、そうそう使うことはありませんので、自分のスタイルと相談してください。

高級セットには必ず入っている、いわゆる「良い色」を上げます。
(赤)PR108 カドミウムレッドパープル 深い赤色。
(赤)     バーミリオン 硫化水銀の朱色。”非常に”高価。
(青)PB28  コバルトブルー      キレイな青色。w〇ndowsのテーマカラーのようにかっこいい。
(青)PB35 セルリアンブルー     美しい空色。空をそのまま描きたい人は欲しい。
(黄)PY35  カドミウムイエロー    鮮やかな黄色。少し高いけれどビリジャンのように持っていたい。
(紫) コバルトバイオレット   上記の高級な紫色。支配者のローブのような非常にキレイな色。とても高価。あっても使わないので1本買えば充分。

これらの色は申し分なく良い色ですが、絵の中ではほとんどの場合、単色の美しさよりも全体のバランスの方が見た目に関わります。
「良い色」を絵にそのまま使いたい場合は、同じくらい良い色で雰囲気を作るか、もしくは最高にキレイな色をリーダーに据えて、画面を従わせてください。
「受け入れ体制」を作って上げましょう。
また、カドミウムやコバルト系の色、バーミリオンなど高価な色は大抵有毒です。過敏にならなくても大丈夫ですが、使用後は手を洗いましょう。噴霧はしないように。

黒について。
代表的なものは(黒)PBk7 アイボリーブラック と(黒)PBk1 ピーチブラック です。 
少量を薄く伸ばしてみるとわかりますが、アイボリーは暖かみがあり、ピーチは寒い黒です。好みで選んでください。

白について。
PW6 チタニウムホワイトが主流です。とても強い白色で、下の色をよく隠しますし、塗った後は頑丈です。迷ったらこの白です。
PW4 ジンクホワイトは透明度のある白色です。下の色を隠すのには向きませんが、薄い白を重ねたり、わずかに白を混ぜたりしたいときはその繊細な性質が役に立ちます。
    乾燥後は塗膜の強度が低いと言われますが、ベタ載せしない限りは問題ないと思います。白を盛りたいときはチタニウムを使うとよいでしょう。
    2色を混ぜてみて、自分の使いやすい強さの白色を作るのも可能です。

では、油絵の具は、まずはどの色を選べばよいか。まとめますと、

確実な三色  (茶)PBr7   バーントシェンナ     
       (黄)PY43  イエローオーカー     
       (青)PB29  ウルトラマリンブルー
+色を補強   (緑)PG18  ビリジャン        
(赤)PR254 ピロールレッド
       (黄)PY35  カドミウムイエロー
あると便利な (茶)PBr7  バーントアンバー
(紫)PV19  キナクリドンローズ
白が必要   (白)PW6  チタニウムホワイト
黒も欲しい  (黒)PBk7  アイボリーブラック

ちょうど10色程度ですね。上記ですと赤・青・緑・黄2・茶2・紫・白・黒 となります。ビリジャンとカドミウムイエローは値段が高めですが、よく使う絵の具です。それ以外は、キナクリドンを除いておそらく全てのメーカーで1、2番目に安いランクの色ですので、お財布にも優しいと思います。
キナクリドンは少し高い部類です。

まずはこれらの色で描いてみてください。際立った色が無いので、バランスは取りやすいはずです。高彩度の色が必要になったら買い足してください。
ちなみに、「赤・青・黄」の3色では多くの色が作り出せますが、最も多くの色を作り出せる3色の絵の具の組み合わせは、おそらく、フタロシアン・キナクリドンマゼンタ・カドミウムイエロー の3色に白と黒を加えたものだと思います。これらは印刷のインクに使われるCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)カラーに対応しており、最も高彩度の絵の具だと思います。しかし、よく使う赤、青、緑を混ぜて作らなければなりません。色を直観的に使えないのは難しそうです。試したことはありません。

最後に、絵の具の名前の頭につけておりました、PB29 などの番号についてご説明します。
これは、その絵の具がどんな色(成分)でできているか、を示しています。Pはピグメント(顔料)の意味、BやYなどはブルーやイエローなど色の区分です。その色の顔料の種類に番号を振って区別しています。
多くのメーカーが絵の具のラベルにこの番号を記載しているので、異なるメーカーの同名色を見分ける助けになります。メーカーによって同番号でも色の違いはありますが、混合色についてはおよその予測ができます。
何色と何色でできた混合色かがわかれば、手持ちにそれらの色がある場合は購入しなくてもよいかもしれません。ただし、メーカーによって最善の比率で混ぜられているでしょうから、その色が頻繁に必要な場合は混合色を信頼するといいでしょう。
例えば、「カドミウムグリーン」という絵の具にはPY35,PG18と記載されています。これはカドミウム黄とビリジャンで作られていることを示します。
「ジョンブリアン」という肌色の絵の具はPW4ジンクホワイト、PY35カドミウムイエロー、PR108カドミウムレッドの混合色です。
メーカーによって違いの大きい「バンダイクブラウン」は、PR101酸化鉄の赤色であったり、PBr7+PBk7と、茶色と黒を合わせたものであったりします。

実際に多くのメーカーの色を買って試すことができれば手っ取り早いですが、購入に迷ったときは顔料の表示を参考にしてみてください。

これまでにおすすめしました色は、ポスターのように鮮烈な色が欲しい方には物足りないと思いますが、コントロールのしやすい組み合わせです。
また、全体的に低彩度ですので、足りないと感じた色を足すときには、その色が際立つようになっています。
油絵の具は安くはありませんので、不足を感じたら徐々に足していくのがよいと思います。
また、チューブから出したままの色を画面に乗せることは、ほぼありません。赤なら赤い絵の具、緑なら緑の絵の具、という考えは一旦置いてください。
そして、ある絵の具を混ぜ合わせた色の範囲の中で、赤や緑といった色を「感じる」画面作りをしてみてください。そのときはきっと、全体の雰囲気の調和が出来ているはずです。

以上、油絵の具の選び方についてのお話でした。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

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