KHM53「白雪姫」に含まれる文化的なもの

こんにちは。
昨日に引き続きMBAインターン生の三浦がお送りします。
前回は『グリム童話』とグリム兄弟についての概要を書かせていただきましたね。
今回は『グリム童話』の中でも群を抜いて有名なKHM53「白雪姫」について紹介していきたいと思います。
※KHM=原題“Kinder-und Husmarchen”の略

「白雪姫」の物語は皆さんきっとご存知だと思いますが、実はグリム版の白雪姫は一般的な白雪姫の物語とは少し違う内容となっています。
相違点としては
・白雪姫を殺そうとする妃は継母ではなく実母(初版)
・妃(実母)は毒リンゴの一度だけではなく櫛、胸紐等を持って複数回に渡り白雪姫の殺害を試みている。
・ラストは王子様と結婚して終わり、だけではなく、結婚式に招待した妃に真っ赤になるまで熱せられた鉄の靴を履かせ
死ぬまで躍らせるという結末になっている
大まかなものを挙げると以上のようになっています。

これらの点を踏まえて「白雪姫」というメルヒェンを読み解いていきましょう。

まず作中表現についてみていきます。
「白雪姫」の冒頭部分、皆さんご存知でしょうか?

  「この雪のように白く、この血のように赤く、そしてこの黒檀のようにくろい子どもがほしい」

白雪姫のメルヒェンはこの実母のセリフから始まります。
ここにでてくる「白・赤・黒」この三色に注目してみましょう。
この三色、「白雪姫」のなかでは何回か登場してくる色なんです。
まず、白雪姫を助ける小人たちが住む森。
ここには、小人たちが用意したガラスの「白」、小人たちが掘り出す鉱物「赤」(古来より小人の掘り出す鉱物は赤いと形容されてきた)
最後に森を育てる「黒」い土。
このように「白・赤・黒」の3色になっています。
そしてさらに妃についてみてみると
白銀に輝く鏡、黒い髪を梳く櫛、赤に関しては赤い毒リンゴと赤くなるまで熱せられた鉄の靴
以上の三色が揃っています。

ここで少しそれてしまいますがケルトの英雄伝説についてみてみましょう。
ジェルドレという美女が雪の上にある牛の鮮血を飲む場面でこぼした言葉があります。

  「好きになるなら、こんな三色を身に着けた男がいいわ、
   あのカラスのように黒い髪
   あの血のように紅い頬、
   あの雪のように白い体」

お分かりいただけたでしょうか?「白雪姫」の冒頭と重なる表現になっていますよね。

実はこの「白・赤・黒」という三色はどの文明にも共通して見いだせる人類の歴史と共に古い基本色なのです。
前回書いた中に『グリム童話』は民衆の語り継いできた物語を集めたもの、とありましたね。
つまりは収録されてるメルヒェンは新しめのものから、いつできたか分からない古い物語まで幅広くなっているのです。

これまでに述べたことから「白雪姫」のメルヒェンについて考えると作中に古の基本色を多く取り入れていることから古い文化に属するメルヒェンだと分かりますね。
加えて、白雪姫の髪色ついてみてみましょう。
グリムの「白雪姫」は明らかにヨーロッパ圏を思わせる話なのに、何故髪色が金でもブラウンなく「黒」なのでしょうか?少なくとも中世あたりには美しいとされる髪色は金が主流だったはずです。そのことも考えると、ここらかもまた白雪姫のメルヒェンは古い文化であると言えるでしょう。

ここまで「白雪姫」を読み解いてみていかがだったでしょうか?
今回はここで終わりにしますが「白雪姫」にはまだまだ神話的なもの
文化的なものがたくさんたくさん詰め込まれています。
妃に焦点を当ててこのメルヒェンを読んでみても面白いですよ。
(妃は魔女なのか魔女ではないのかなど)

「白雪姫」だけではなくほかの『グリム童話』のメルヒェンもこういった文化的側面が見えてくる作品が沢山あります。ぜひ、みなさんもお気に入りの作品をより深い視点からみてみてください。

ここまでご拝読ありがとうございました!

参考文献
桑野聡「メルヘンとヨーロッパの森の文化―白雪姫の事例から―」『紀要』47号、2011年、29~46頁.
高橋義人『グリム童話の世界 ヨーロッパ文化の深層へ』岩波書店、2006年.
森義信『メルヘンの深層 歴史が謎解く童話の謎』講談社、1995年.

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