「銅版画技法」について

こんにちは、インターン生の渡邉です。
第7回目では「について」と題し、木版画技法の歴史や技術について紹介しました。
第8回目では「銅版画技法」ついてご紹介させていただこうと思います。

【そもそも銅版画って?】

銅版画を実際に作ったことがある人は少ないのではないでしょうか?
そもそも銅版画についてあまり知らないと言う人も多いでしょう。

銅版画は銅版や亜鉛版などの金属板を材料とし、版面に凹部を作り、その部分にインクを詰めプレス機などで強い圧力をかけて摺り取る技法です。
版の摩滅が起こりにくく絵の刷り味が比較的一定な為、複数の作品を作ったり紙幣や出版物などを大量に印刷したりするのに向いています。

引用元:http://www.npb.go.jp/ja/intro/tokutyou/index.html
お札の数字部分や右下の図形を触ると凹凸があるのがわかるでしょうか?現代でも銅版画の技術は偽造防止に利用されています。

銅版画技法は「エングレービング」「メゾチント」「ドライポイント」「エッチング」の4種の技法は、主流になります。また凹部の作り方で「直接技法」と「関節技法」の大きく二つに分けられます。

直接技法は版面に直接道具で線を彫ったり、引っかいたりして凹部の溝を作る技法で、「エングレービング」「メゾチント」「ドライポイント」がこれに当たります。
間接技法は酸などの腐食液で版面を腐食させて溝を作る技法です。様々な腐食方法や描画方法がありますが、腐食を利用する技法を総称して「エッチング」と呼ぶことが多いです。

【銅版画の4種の技法について】

「エングレービング」

初期の銅版画は、1430年代にライン川流域のドイツの金工職人たちが作った装飾の記録をとる為に、凹版を開発したのが始まりとされています。1400年代後半から1500年代前半にかけて、多くの画家たちが版画を制作し、その中でもアルブレヒト・デューラーはエングレービング技法を完成の域まで極め、いくつもの秀作を残しています。

エングレービングでは「ビュラン」と言う道具を使って、銅版に直接溝を彫ります。また、開発された当時は凹版を摺るための強い圧力を得るために、ブドウの絞り機を利用していました。これが後々に版画用のプレス機に発展しています。

「ドライポイント」
ドライポイントは硬度の高いニードルなどで版に直接描画して、作品を仕上げます。版面に直接凹部分を作るのはエングレービングと変わりませんが、大きな違いは銅版の削り屑で「まくれ」ができることです。
このまくれはささくれ立ったり隙間ができたりするので、摺る際に線が滲んだような表情になります。

「メゾチント」

メゾチントは深い黒色と明暗の細かな調子が特徴的な技法です。
ベルソー(英:ロッカー)という櫛状の道具を左右に揺らし「目立て」という刻面に細かな溝を付け作業を行った後、目立てた溝を潰したり削ったりすることで調子を作る直接技法になります。
1624年にオランダのルートヴィッヒ・フォン・ジーゲンがこの技法を発明し、油彩画の複製や書物の挿絵などに使用されてきましたが、リトグラフが開発されたことや写真の普及で一度衰退しました。しかし、1919年に長谷川潔がメゾチントを利用した作品を発表したことから、20世紀以降の現代版画表現で一つの形を築きました。

「エッチング」

16世紀の初頭に酸による腐食で凹部を作る「エッチング技法」が開発されました。
当時、エングレービングが既に印刷技術として完成されつつありましたが、ビュランの使い方が難しく、熟練した金工師の腕がなければ制作できないものでした。
その点、エッチングは版面を腐食防止の処理をした面に針などで描画し、硝酸(現代では塩化第二鉄)に浸して腐食させて凹部を作ります。エングレービングと比べると描画の自由さと即興性が保たれ、修正もある程度可能。また、腐食時間をかける事で凹刻を深くして線を太くする事が可能など、利点が多かったのです。また、松脂の粉末を防食材として利用することで、グレーの面を作る「アクアチント」と呼ばれる技術ができたことで、表現性の幅が広がったのも後押ししていました。
初期のエッチングは、挿絵の複製などに使用されることが多かったのですが、17世紀にレンブラントなどを初めとする著名な画家たちが、創作での絵画作品を発表しました。これをきっかけに、18世紀以降も多数の作家たちがエッチングで制作を行う用になりました。

紹介した「エングレービング」「ドライポイント」「メゾチント」「エッチング」の4種の技法は、実際には一つの作品に1~2種の技法が併用されていることが多いです。
また、近年では金属板ではなくポリ塩化ビニル板を利用した版画なども増え、現在でも技法の研究が続いています。

今回は銅版画技法ついてお話してみましたが、いかがでしたでしょうか?
次回からは木版画、銅版画、リトグラフの3版種のうち「リトグラフ技法」についてご紹介しようと思います。

それでは、ご覧いただきありがとうございました。

〇はみ出し小話〇
版画作品は画像のような形で販売されています。

まず支持体である紙は、描画部分より大きく余白が取られており「マージン」と呼ばれています。この余白は下部にある文字部分を書くのはもちろんですが、保管しているうちに作品が波打ったりした場合に、修復をしやすくするためでもあります。

次に描画面の下を見ると文字がいくつか書いてあります。

左下には分数、もしくはアルファベットでA.P、E.P等と記入されています。これが第6回目でもご紹介した「エディション」になります。
ここに分数が記入されている場合は「この作品は〇枚あるうちの№〇です」という表記になります。「数が若いほど最初に摺られた作品である」と誤解されがちですが、実際は作者が管理するために割り振っているだけなので、必ずしも摺られた順番に番号が振られているわけではありません。
アルファベットが記入されている場合は、文字毎に様々な意味を持っています。
展示されている作品で多いのは「A.P」や「E.P」です。これらは『Artist’s Proof』と呼ばれ、作者保有用の作品で基本的には販売しません。(展示で利用したり、作品集をまとめる用の作品です)ただし、番号分の物が完売してしまったときだけ、ごく一部が販売されることがまれにあります。
他にも『T.P(Trial Proof)試刷り用』や『P.P(Present Proof)寄贈用』などがあり、作者独自のものもあります。

中央には『タイトル』があります。ここは必ずしも必要と言うわけではないので、極まれにここが空白の作家も居ます。それでも、最低限「無題」とついていることが多いです。

右下には必ず『サイン』が入れられます。サインは英語表記のことが多いですが、国内の作家ではひらがなや漢字でサインを入れている人も居ます。

もし版画作品を購入することがあれば、まず『エディション』『タイトル』『サイン』をチェックしてみましょう。特に購入したい作品のエディションが「A.P」「E.P」などのときは、この他に何枚摺られているのかキチンと確認しておくのが重要です。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

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