「リトグラフ技法」ついて

こんにちは、インターン生の渡邉です。
第8回目では「銅版画技法について」と題し、銅版画の技法やその種類について紹介しました。
第9回目では「リトグラフ技法」についてご紹介させていただこうと思います。

【リトグラフ……って何?】

リトグラフは端的に言うと『水と油が反発し合う性質を利用して刷る「平版」の印刷技法』です。
平版と言う言葉の通り、リトグラフには版に凹凸がほぼありません。描画時に彫刻刀やニードルで彫ったりする必要はなく、描画の材料によって線的な表現から絵の具のような表現まで、自由で繊細な表現が可能です!

……しかし、リトグラフは版を製版するための工程が多く、さらに科学的な処理や仕組みが多いので、理解・説明するのがなかなか難しい技法です。
(版画学科の生徒でも「仕組みは理解しているけど、他人に説明するのは難しい…」と言う人も少なくありません)
そんなリトグラフについて、図などを交えて説明したいと思います。

【リトグラフの手順と仕組み】

①描画

まず、リトグラフの版の材量ですが、現代ではアルミ板(技法によっては木版)を利用します
。技法が生まれた当初は石版(石灰石など)が利用されていましたが、大きさに制限がある上にとても重いので、近年ではあまり使われていません。
描画材は「油性の画材」を使います。具体的にはリトグラフ用クレヨン、油性インク、油性マジック、溶き墨、焼き付けたトナーなどが利用できます。

実際の描画ですが、アルミ板の表面を目立てしザラつかせた後に、「油性の描画材」で版に直接絵を描いていきます。描いた形や表現がそのまま出るので自由に描くことができますが、このとき『版に素手で触ってはいけません!』
何故かというと、手のちょっとした油分でも「描画した」事になり、後々摺った絵に指紋や手の跡が出てきてしまうからです。なので、描画時は手袋を付けながら作業します。
(うっかりすると、作業中に食べていたお菓子の欠片の跡なんかも出たりします……)

②製版処理

描画し終わったら次は版画として摺れるように『製版処理』を行います。

アルミ板に描画した状態は図1のようになっています。ここにアラビアガム液に有機酸を混ぜた「SK液」を全体にムラなく塗ります。
このSK液が大変重要で、この液は『灯油などの油性の液体をはじくが、水には溶けやすい』という特性を持っています。なので、図2のように「油性の描画部分がSK液をはじき」描画材とSK液の二つに分かれます。

SK液を半日~1日程度乾かしたのち、灯油やプリントクリーナー等の「親油性の溶剤」で洗います。そうすると図3のように油性の液体をはじくSK液は溶けずに残り、油性の描画材だけが溶けて落とされ『アルミ部分がむき出し』になります。
(この図を見ると分かるかと思いますが、実は平版でも微細ながら凹凸を作っています。)

描画材を落とし終わったら、平版用ラッカー(エゲンラッカー)を全体に塗ります。そうすると先ほど落としたアルミ部分に定着し、図5のように『描画部分がラッカーに置き替わり』ます。その上からチンクタール、もしくはシリコンを塗ることで、図6のようにラッカーを補強し親油性を安定させます。ここで版を一度完全に乾燥させます。

チンクタールなどが乾燥しきったら、版全体を水洗いしてSK液を落としきります。こうすることで図7のように『描画部分だけが残ります』
この状態からスポンジなどを使って版を均一に水で濡らしたまま、ローラーで油性の製版用インクを転がします。そうすると、水がある部分はインクが弾かれて、図8のように『描画部分が油性インクに置き換わります』

最後にタルクなどを塗布してから、もう一度SK液を塗り乾燥させることで、図9のように『インクが乗る部分』と『インクをはじく面』を作ります。
これでようやく製版処理が終わり、版として摺れるようになります。

③摺り
ここまで来てようやく摺りに入ります。

まず最初に製版済みの版の「油性の溶液で製版用インクを落とし」ます。こうすると図10のように『平版ラッカーとSK液が分かれた状態』になります。
製版用インクを落としたら、今度は水洗いでSK液を落とします。こうすると図11のように版の上が『平版ラッカーのみ』になります。

平版ラッカーのみの版に、スポンジで版全体を水で濡らし、その上から「プリントインク」をのせます。こうすると図12のように『プリントインクが描画面だけに乗る』ようになります。
この状態で図13のように版に紙や当て布をして、プレス機で圧をかけるとリトグラフ技法の完成です。

今回はリトグラフ技法ついてお話してみましたが、いかがでしたでしょうか?
リトグラフは工程も多く、その仕組みを理解するのは大変難しい技法です。
しかし、実際に制作を行う上では手順さえ間違えなければ必要な技術は少なく、作者の表現力を存分に生かすことのできる技法だと思います。

次回は版画学科で行われる授業や、展示などの年間行事についてお話したいと思っています。
また最終回と言うことで「美大に通うこと」についても少しお話できればなと思っています。

それでは、ご覧いただきありがとうございました。

(今回のはみ出し小話はお休みさせていただきます…)

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