はいいろクリスマス

はじめまして。

MBAのインターンシップに参加させて頂いています、高橋樹と申します。

今回、私が執筆させていただきます記事は、“自作小説”です。

私は大学では文芸倶楽部というサークルに所属しており、そちらで様々な文芸作品を執筆してきました。これから、私が執筆してきた一部の小説作品を公開・紹介させていただきたいと思います。

今回紹介いたしますのは、“はいいろクリスマス”という作品です。

タイトルの通り12月頃に執筆した作品でして、私が文芸倶楽部の活動で初めて執筆した小説作品です。

ジャンルと致しましては恋愛小説に該当致します。クリスマスにすれ違う男女の姿を描いた作品です。

この作品を書いた経緯についてですが、当時“クリスマス”というお題で作品を書くことになり、最初に思い付いた情景は『イルミネーションが辺りを照らす夜、雪が降ってホワイトクリスマスになる』という情景でした。このような情景は数多くの映像を始めとした創作作品においてはよく取り上げられるシチュエーションであり、クリスマスと聞いて同様の連想をする方も多いのではないでしょうか。そして私はその情景が浮かんだ直後こんなことを思いました。『ホワイトクリスマスとは、どこからがホワイトクリスマスなのだろう』と。調べたところクリスマスイブ、またはクリスマス当日に積雪があればホワイトクリスマスに該当するそうです。では、クリスマスにただ雪が降っただけではホワイトクリスマスではないのか。そんな雪が降った中途半端なクリスマスと男女の中途半端な関係を絡めて描こうと考えて執筆したのがこの作品です。

興味があれば、是非ご覧ください。

はいいろクリスマス

「えー、今日の補習はここまで。今日がクリスマスだからって、お前らあまりはしゃぎすぎるなよー」

 教師のその言葉を聞いて、今まで朦朧としていたミカの思考が一瞬で覚醒する。

 先ほどまでうつろな表情でミミズのような文字を綴っていたのが嘘のような機敏な動きで教科書とノートをカバンにしまい、帰りの支度を整える。

「ミカー。ワタシらこれからみんなで遊びに行くんだけどさー。ミカも来ない―?」

 隣の席で補習を受けていた友人、サキがミカに話しかける。

 サキの誘いは魅力的なものだ。普段ならば二つ返事でミカは了承しただろう。しかし、今日ばかりはそうはいかない理由があった。

「ゴメーン!ワタシこれからカレシとデートなんだぁー♪」

 そう。今日ミカは彼氏であるユージとのクリスマスデートがあるのだ。

「ウッソマジ!?いいなぁ~!ワタシもホントはケータとデートしたかったケド、ケータ今日予定あるらしくて―……」

 ミカは一瞬、確かサキの彼氏の名前はアラタという名だったはずだが、と考えかけて即座にまた新しい彼氏が見つかったのだろうと思い至る。

サキの彼氏が変わることなど日常茶飯事。いつものことだ。

「だから今日はホントゴメンねー!」

「いいよいいよー!デート頑張ってねー!」

 サキはそう言うと教室内で待機していたほかの友人たちのもとに走っていった。

 サキが去ったのでデートの準備のため、早々に帰ろうと足早に教室を出る。

 廊下に出てふと窓を見ると、外では雪が降っていた。ふわり、ふわりと柔らかく雪が降っている。

「これってもしかしてホワイトクリスマス?」

 ホワイトクリスマス。なんとロマンチックなことなのだろうか。しかも自分はこれから彼とデートなのだ。ミカは雪が降る中でのクリスマスデートを思わず想像し、ときめく。

 ミカは胸を高鳴らせ、足早に雪の中へと駆け出した。

 クリスマスデートを言い出したのはユージだった。

 2人でテレビを見た時、近所のクリスマスツリーのイルミネーションの宣伝が流れて話が持ち上がったのだ。

 計画は2人で相談をして立てた。……もっとも、考えたのはほとんどミカだったが。

 クリスマスにはミカは期末テストの成績が振るわなかったための補習にかかってしまい、ユージもバイトが入ってしまったためデートは夕方から夜にかけての時間に行うことになったが、夜のデートというのもそれはそれでよいと2人は考えた。これまでのデートは、どれも昼間に完結していた。夜にまで及ぶデートは、今回が初めてだ。

 計画は完璧。ミカは今日この日まで、今か今かと待ち焦がれていた。

「え……?ちょっと……何それ……来れないってどーいうこと!?」

 待ち合わせ場所のクリスマスツリーのイルミネーションの前。少し早めにやって来たミカは2時間近くユージを待っていた。待ち合わせ時間はとっくに過ぎていたが、ユージは時間にルーズなところがあるのでたまたま遅れているだけなのだろうと思い、しばらくは気にも留めなかった。

 しかし、予定していた時間から1時間も過ぎるとさすがに不安がミカの胸をよぎりだし、それからしばらくしてミカを完全に凍り付かせる電話をユージが掛けてきた。

『いや、だからさ?今日俺の次にバイトのシフトに入るはずだった奴らが軒並み出れなくなっちゃったらしくてさ?人手が足りないから俺も出ろって店長がうるさくてさ?』

 電話口からユージの軽い口調の言葉が流れ出る。彼が事態を深刻に、真剣に捉えていないのは明白だった。

「そんなの……断っちゃえばいいじゃん!」

『でもさ?あの店長そうしないとクビにするってうるさいんだよ。この仕事の給料はある程度イロ付けてくれるっていうしさ?この埋め合わせにまた今度デートすればいいだろ?』

「はぁ!?」

『じゃ、俺仕事戻るから』

「え、ちょ!」

 反発する暇もなく、電話は、あっさりと切れた。

 即座に電話を掛け直すがユージが応じることは無く、とうとう彼は携帯の電源を切ってしまったようだった。

 呆然と立ち尽くす。

 まさかここまで来てこんなことになるとは思わなかった。

 ユージには少し思慮の浅いところがあるとは思っていたものの、まさかここまでだとは思ってもいなかった。

 胸が張り裂けそうになり、涙があふれそうになる。このミカに去来する感情は悲しみではない。悔しさだ。

 涙を流すまいと、天を仰ぐ。そこには、星1つ無い漆黒の夜空が広がっていた。

……そう、雲一つ無い空が。

 雪は、もう止んでいた。

 その事実に気付き、空しくなって今度は顔を落とす。しかし地べたには雪が降っていた唯一の痕跡である湿り気が残っていて、余計にミカを惨めな気持ちにさせた。

 雪の止んだクリスマスは、ホワイトクリスマスなのだろうか。

 違う。と、ミカは思った。こんな中途半端を、そんな浮ついた言葉などで表していいはずがない。

 純粋で真っ白な期待に、どす黒いものが無理やりかき混ぜられた、醜い灰色。

 はいいろクリスマス。今日は、そう呼ぶのがふさわしい。

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