最後にして最大の関門、原子

みなさん、こんにちは。

第十回は原子について説明と解説を行っていきたいと思います。

原子分野はポイントがかなり多いので、箇条書きでまとめます。

1.指数・小数に気を付ける

今までの物理範囲にも指数や小数が複雑な計算はたくさん出てきましたが、原子分野はその計算がさらに細かく、さらに厳密になっていきます。そうすると有効数字であったり、指数計算がより重要になってきます。細かいところまで注意して計算をするようにして、見直しもしっかりと行いましょう。

2.公式は導出をしっかりと理解する。

原子分野はかなり公式で説明する分野です。原子分野での理論的な話はとても難しく、式を使わないと説明や理解ができないからです。さらに加えて、原子分野は教科書の最終章にあることが非常に多く、受験までに対策が追い付かないことや受験問題にはほとんど出ないこともあります。このような状況のせいで、対策に時間がない、あまり対策する必要がないと感じられ、原子分野は記憶との勝負になることが多いです。ですが、そのままで覚えるとたいていすぐに記憶から飛んでいきます。公式にしたがった問題が多いため、受験時に忘れるのはたいへんな痛手です。そのようなことにならないためにも、公式は導出から理解しましょう。もしくはその公式が成立するまでの理論をしっかりと理解しましょう。成り立ちや導出までの過程を理解することは要素の出現を理解することにもなり、より公式を覚えやすくなります。公式は導出から理解しましょう。

3.今までの復習や、化学の勉強をしておく。

原子分野は、今までやってきたことの復習的立場にもあります。力学、熱力学、波動、電磁気学が原子レベルでも話が通用するということ、言い換えれば、いままでやってきたことはすべて原子のレベルで話が通じているという事を確かめるためです。なので、今までの学習が中途半端であったり、今一つだったりすると、そのポイントに見合った部分で躓くことがあります。しっかりと理解しましょう。また、最後の部分において、原子エネルギーの収支のお話が出てきます。実はこの部分化学ではかなり初期にやる部分であり、ここの理解は化学をやったほうが良いと思えるまであります。なので、科目選択において物理と化学を学んでいる人は相互に関係している部分を確かめてみて下さい。

4.わからなかったら、切り捨てる。

これは最終手段です。先ほども言ったように、原子分野は受験問題にほとんど出ません。なかには一度も出したことがない大学まであります。そういうことが多いので、原子分野がまったくわからないのならば、ほかの分野を仕上げるべきです。

この十回で高校物理のポイントの説明と解説を行ってきました。今回で最終回となります。今までありがとうございました。

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よくツンデレと言われる磁束

みなさん、こんにちは。

第九回は電磁気学の後半について説明と解説を行ってきたいと思います。

一つ目はファラデーの電磁誘導の法則についてです。ファラデーの電磁誘導の法則はレンツの法則を発展させたもので、「誘導起電力は、それによって流れる誘導電流の作る磁束が、外から加えられた磁束の変化を打ち消すような向きに生じる」というレンツの法則を磁束変化量と単位時間で定式化したものになります。ここでよくあるのが、マイナスの符号をどう処理すべきなのかわからないという生徒が多くいます。このような生徒はたいていレンツの法則もしくはファラデーの法則を理解しないまま式だけ見ているというパターンが多いです。改めてレンツの法則を読むと、誘導起電力は外から与えられた磁束変化を妨げる向きに対して生じると言っています。ということはつまり、与えられた磁束の向きを逆向きにしないと誘導起電力の正しい向きが求められないという事なのです。だから、ここでマイナスの符号をつける処理が必要なのです。ファラデーの法則は非常に大切ですが、式だけを先走って理解しようとするのはやめましょう。

二つ目は磁場を横切る導線に生じる起電力についてです。この問題については2つパターンがあります。一つは正方形回路が磁場内を通過する場合です。この問題のポイントは、電場への進入中、通過中、退出中で振る舞いが変わるところです。ファラデーの電磁誘導は磁場変化が起きないと起電力が生じません。という事は通過中に関しては全く起電力が生じません。なので考えるべきは進入中と退出中という事になります。そして、進入中と退出中でも起電力の発生する向きに気を付けてください。進入中は磁場が増加し、退出中は磁場が減少します。これから言えることは進入と退出で起電力の向きが変わることです。もう一つは、レール上を導線が走って磁場を通過する場合です。この場合は一方的に磁場の量が増え続けるだけなので導出は簡単ですが、図を描いていると電流の向きがわからなくなる場合があります。このとき、注意してほしいのは電源がレール上を走っている導線だという事です。ファラデーの法則で右ねじを適用した場合、磁場を増やしている原因は導線にあるので、適用先は導線になります。注意しましょう。

三つめは交流電源についてです。交流電源はもはや波動の復習ポイントです。波動がわかってないと、本当にわかりません。周期のずれや初期位相など、色々と混み入ってるので、意味がさっぱりだという人は、波動を復習しましょう。

最終回の次回は原子についてまとめていきたいと思います。

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電磁気学でもやっぱり向きが大切

みなさん、こんにちは。

第八回は電磁気学の中間についての説明と解説を行っていきたいと思います。

一つ目はキルヒホッフの第二法則についてです。キルヒホッフの第二法則は回路中の一回りの閉じた回路について起電力の和と電圧降下の和は等しいという事です。そこで生徒がよく混乱するのが、電源を電流と逆向きに通過したときの処理です。電源は起電力となるので、順方向への通過は起電力として処理すればいいのですが、逆方向への通過はどう処理をすべきかわからないという生徒が多いです。これに対しての答えは、抵抗と同じように扱う、つまり電圧降下として扱うという事です。順方向に対して電位が上がるという事は、逆方向では電位が下がるという事になります。したがって抵抗を順方向で通過したときと変わらなくなるので、電圧降下として扱うのです。これに則して、抵抗を逆向きに通過すると起電力の上昇となり、符号が変わる場合があります。キルヒホッフの第二法則を使うときは、経路に注意しましょう。

二つ目は、非直線抵抗を扱うときの計算です。回路上で豆電球が繋がれている場合がたまにあります。これをこのまま、今までの抵抗の処理の仕方で解くことはできません。なぜなら豆電球は非直線抵抗だからです。非直線抵抗とは、電流を流すことによって温度が上昇するために抵抗値が大きく変化してしまい、電流と電圧の関係を表すグラフが直線的にならない、つまり、電圧と電流が比例しない抵抗のことです。電圧と電流が比例しないため、今までのオームの法則が適用出来ません。ではどうやって解くかというと、グラフを使って交点などで解くのです。基本的によくあるのが、抵抗と直列接続された回路です。このような場合、非直線抵抗にかかる電圧をVとおいて、電流値をIとおいた、一次関数を使って求めます。この一次関数を、非直線抵抗の電圧と電流の関係が描かれたグラフに上から書くことで、交点を求めることができ、そこがかかる電圧になるとわかります。このグラフを使ったとき方は、物理の中でも唐突に出てきます。この問題に関しては何回も解いて理解するまでやったほうがいいかもしれません。

三つ目は磁場全般のお話です。基本的に電流の作る磁場の話では右ねじの法則が適応できます。フレミングの左手の法則に関しても電流から磁場に向かって人差し指から小指を回せば親指の方向が力の働く向きになることがわかります。すべてにおいて適用できるので、右ねじの法則は必ず頭に入れておきましょう。

次回は電磁気学の後半についてまとめてみたいと思います。

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入り口から飛ばしてくるのが電磁気学

みなさん、こんにちは。

第七回は電磁気学の前半についての説明と解説を行っていきたいと思います。

一つ目は電位の定義です。電磁気学において、始めの項目で一番よくわからなくなるポイントです。クーロン力、電場の説明は教える側としても教えやすく、教わる側、つまり生徒としても感覚的に理解しやすいです。しかしながら電位の定義等の話はかなり分かりづらく、かなり教えにくいものなのです。なのでここでは、基礎に立ち返って一から話していきたいと思います。ここで、静電気力による位置エネルギーについてお話します。静電気力のする仕事は、重力がする仕事と同様に途中の経路に関係なく、始点と終点の位置だけで決まります。よって、静電気力も保存力であることがわかります。これより、静電気力も位置エネルギーを考えることができます。ある物体がある点から基準点まで移動するときに静電気力がする仕事を、基準点から見たある点における静電気力による位置エネルギーと呼びます。そして電位とは、そのある点にq(C)の電荷を置いた時に、その電荷の持つ静電気力による位置エネルギーU(J)は、電気量q(C)に比例することより、電荷1Cのあたりの静電気力による位置エネルギーとして、定めたもののことなのです。つまり電位とは、高さのことなのです。ここの定義は問題などで扱う事はそれほどないのですが、大変つまずきやすいポイントです。電位はエネルギーの定義から求めていることに注意しましょう。

二つ目はコンデンサーの電気容量についてです。まず初めにC=εS/dの式について説明します。求め方は、まず電位差とコンデンサーの電場の式を使って、V=Ed=4πkQd/Sとし、Qについて解くと、Q=1/4πk×SV/dとなるのでQ=CVを使って、C=1/4πk×S/dとして1/4πkをεと置くことで求められます。ここにおいて重要なのはS/dの部分です。Sは面積でdは極板間距離を指します。それからすると、コンデンサーの電気容量は面積に比例し、距離に反比例するという事なのです。つまり、コンデンサーの容量を大きくしたければ極板の面積を大きくし、できる限り極板と極板を近づけろという事なのです。この考えはのちのちコンデンサーの合成のところで、合成時の電気容量の考え方として役に立つので必ず理解しておきましょう。また、コンデンサーに誘電体を入れたときの極板の電気量の変化も注意しましょう。スイッチを入れた状態で挿入すると、コンデンサーは電場を保とうとして、電気容量が増えます。この時に比誘電率の話も出てくるので気を付けてください。

電磁気学はポイントが多いので、3回に分けて行いたいとおもいます。次回は電磁気学の中間について説明します。

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見えない世界、光

みなさん、こんにちは。

第六回は波動の後半についての説明と解説を行っていきたいと思います。

今回は光がメインとなります。

一つ目は光の波長です。波動の光の分野において、波長は必ず何かしらの要素として組み込まれています。そして、波長を要素として扱う問題につきものなのが、それは可視光ならば赤寄りなのか紫寄りなのか、ということです。可視光において赤色光は波長が約7.7×10^-7mと波長が一番長く、紫色光は波長が約3.8×10^-7mと一番短い。この長さが重要です。光の問題において白色光を使っている場合、光の分散が起きる場合があります。そうするとよく聞かれるのが、できた像において赤色光および紫色光がどこにあるかです。このようなときに少なくとも波長が長いか短いかを知っておかなければ、最終的な答えを求めることができません。可視光のスペクトルをある程度は覚えておくことが大切です。

二つ目は光路長についてです。光路長は光学距離とも呼びます。光路長においてよくあるのが、屈折率の影響を受けるのはどの要素かという事です。極端に言ってしまえば周波数並びに周期には影響がない、という事になります。屈折率nの物質中での光の速さをvと置いたとき、屈折の法則からc/v=nとすることができます。これより、物質中の光の速さは真空中よりも遅いことがわかります。そのため、光が距離lだけ進むのにかかる時間が真空中ではl/cではあるが、屈折率nの媒質中ではl/v=nl/cとなり、真空中のn倍になります。これより、屈折率nの媒質中の距離lは真空中の距離nlに相当するという事がわかります。このとき、波の個数と通過時間は変わりません。つまり、屈折率の影響を受けるのは速度と波長なのです。物質内での波長はλ’=λ/n、速度はv’=V/nとなります。周波数および周期は変わらないことに注意しましょう。

三つめは反射に起こる、位相の変化についてです。光が反射する際、屈折率の高いところから低いところへの境界面での反射は、自由端反射扱いとなり位相の変化はありません。ですが、屈折率の低いところから高いところへの境界面での反射は固定端反射扱いとなり、位相がπだけ変化します。この仕組みでややこしくなるのが、光の干渉です。反射するときに自由端反射である場合は干渉時において、何ら問題はないのでそのままで解くことができるのですが、固定端反射のときは、片方が位相πだけズレるという事があり、式が変形することがあります。十分に注意しましょう。

次回は電磁気学の前半についてまとめたいと思います。

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向きと距離に厳密な波動

みなさん、こんにちは。

第五回は波動の前半についての説明と解説を行っていきたいと思います。

一つ目は正弦波の式についてです。波動において一番初めに疑問を呈しやすいのが位置xにおける媒質の変位の式です。式の表記はy=Asinω(t-x/v)となりますが、なぜ時刻の部分がt-x/vになるのかがわからないという生徒が多いです。この疑問に対しての答えは、その時刻tにおけるその位置xでの変位yは、原点において何秒前の変位yかという事です。波動の式は原点での記述しかできません。ということはそのポイントにおける状況が原点においていつ起きたかという考え方を持ち込む必要があります。そのためにその処理を時刻で行って記述できるようにしているのです。波は距離xまでを速度vで移動します。なので、原点からxまでの移動にかかる時間はx/vになります。つまり、今の時刻において位置xで起きたことはx/v時間分だけ前の時刻において原点で起きたことと考えることができます。したがって、現在時刻tからx/vを引いた分を時刻として正弦波の式に代入してあげれば位置xにおける媒質の変位yを求めることができるのです。

二つ目は波の干渉についてです。波の干渉式は簡単にするとある点における2つの波源からの距離の差が波長の整数倍ならば強め合い、そうでなければ弱めあうという事を言っています。しかしながら、式の内容をきちんと理解できない生徒が多くいます。よくあるのがなぜ左辺に絶対値がついているのかです。それは、指定した点の位置が1つ目の波源と2つ目の波源のどちらに近いかはいつも同じとは限らないからです。一つ目に近い点もあれば、二つ目に近い点もあるでしょう。という事は距離の差を求める際に、常に長いほうから短いほうを引く処理するためには絶対値が必要になる。これが理由です。すべての状態が、いつも同じ波源に近いとは限りません。

三つめはドップラー効果の式です。ドップラー効果の式はどの本を開いても、説明の仕方と導出の手順は同じなのですが、導出の際の向きの設定が本によって様々になってしまっているので、どれで求めるのが正解なのか、質問をよく受けます。答えは「自分のやりやすい方法でやる」です。基本的にどの本に載っている公式でも、正しく扱えば必ず同じ答えが導けるはずです。音源が近づいてくる場合はマイナス、遠ざかる場合はプラスであり、観測者が近づくとプラス、遠ざかるとマイナスという点はすべて同じのはずです。なので自分がやりやすい方法で求めるのが一番だと思います。

次回は波動(後半)をまとめてみたいと思います。

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記憶との勝負、熱力学

みなさん、こんにちは。

第四回は熱力学についての説明と解説を行っていきたいと思います。

熱力学は間違えやすい、勘違いしやすいというよりも覚える要素や計算が煩雑であることが多いです。なので、今回に関しては箇条書きで並べてみたいと思います。

1. ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル・シャルルの法則、気体の状態方程式

これら四つは熱力学の計算の基本の基本です。ですが、どっちがボイルの法則でどっちがシャルルの法則なのか、ボイル・シャルルの法則と気体の状態方程式はどう違うのかという事になりやすいです。ボイルの法則はpV=const.で温度一定のとき、一定質量の気体の体積は圧力に反比例する法則です。シャルルの法則はV/T=const.で圧力一定の時、一定質量の気体の体積は絶対温度に比例する法則です。ボイル・シャルルの法則は上記二式を組み合わせたものでpV/T=const.という、一定質量の気体Vは圧力pに反比例し、絶対温度Tに比例するという法則で、気体の状態方程式は、ボイル・シャルルの式から理想気体の状態を当てはめて気体定数を導き、分子量の違うすべての気体にあてはめられるようにしたものです。違いを覚えておきましょう

2. 8.31(Pa・m^3)/(mol・K)と8.31×10^3(Pa・L)/(mol・K)

どちらも気体定数ですが、注意したいのは単位が立方メートル表記かリットル表記かです。1m^3=1000Lであることを使えば左から右、右から左の換算ができます。出てくる問題によって立方メートルを使うか、リットルを使うかが変わってきます。注意しましょう。なお大抵の問題はリットル表記で出てくるので右で覚えておくことをお勧めします。そして左で扱う事になったときに、立方メートルとリットルとの換算ができるようになれば対応できます。

3. 熱力学第一法則のW

熱力学第一法則のWは外部からされる仕事です。内部からする仕事と間違えないようにしてください。熱力学第一法則は、内部エネルギーは加熱による温度の上昇と、外部からされる仕事によって体積が小さくなることによって増加する式になります。ちゃんと覚えましょう。

4. 3/2と5/2

理想気体の内部エネルギーを求める際に単原子分子と二原子分子の計算でやたらと3/2と5/2という数字を見ます。これは運動論を求めればこの値になるのですが、単原子分子は運動する方向がx,y,zの三方向であるから3になり、二原子分子はその三方向に加えて、X軸中心回転とZ軸中心回転の二つがあるので5になるのです。もう一度言うことになりますが、ちゃんとこの数字になる理由を知りたければ気体分子運動論の導出を調べてみたり、自分でやってみたりしてください。

次回は波動(前半)をまとめてみたいと思います。

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マイナス、それには理由がある。

みなさん、こんにちは。

第三回の今回は、物理の力学についての説明と解説を行っていきたいと思います。

一つ目は、反発係数についてです。反発係数で多くの生徒がわからなくなる点があります。それは、反発係数の式の中身にマイナスがつく点です。このマイナスはいったいどこから来たのか、というところでわからなくなってしまう生徒が非常に多いです。しかしながらこの疑問はよく考えればすぐにわかります。二体間において相対速度を、どこを基準においているかです。反発係数の式では衝突前相対速度分の衝突後相対速度で求めています。この時、衝突前において速いほうをv1、遅いほうをv2とするとv1でv2を追いかけているときの相対速度はv1-v2で求めることができます。つまり最初に遅い速度を持っている方から見た視点の相対速度なのです。なので衝突後も同じように考えます。このとき、衝突後であると元々v2を持っていた物体の方が速くなります。とすると、衝突後の各物体の速度をv1’、v2’としたとき、v1’-v2’の値が負になってしまいます。ここがポイントなのです。どちらも基準をv2とおいているが故に負の値が出てきてしまうのです。反発係数はあくまでも反発の強さなのでベクトルではなくスカラーで求めなくてはなりません。したがって、相対速度の基準がゆえに出てくる負の値を修正するために最後にマイナスを入れなくてはならないのです。一応この式は運動量保存則と運動エネルギーの式からも導出できるので、できる人はやっておきましょう。

二つ目は万有引力による位置エネルギーです。これもなぜエネルギーの式なのにマイナスがつくのかよくわからなくなる生徒が多いです。これに関しては、基準点が無限遠方だからというのがストレートな答えです。万有引力とは、物体間の距離が離れれば離れるほど弱くなります。したがって、万有引力を振り切るには無限遠方まで行かなくてはなりません。そこが万有引力による位置エネルギーの基準点、0ポイントなのです。このとき、万有引力の力の向きは無限遠方と逆向きにあります。したがって万有引力のする仕事の向きが基準点と逆向きにあるので負の仕事をします。これが、マイナスがついている原因なのです。単純な位置エネルギーのとき、基準点に対して重力の向きは同じです。したがってする仕事も正の仕事となり、エネルギーも正の値になります。ですが、万有引力による位置エネルギーのとき、基準点が無限遠方にあるがゆえに、万有引力の向きが逆向きになり、する仕事も負の値をとり、エネルギーも負の値を取る。こういう事なのです。もっと厳密にやってみたいという人は、積分で求めてみてください。

次回は熱力学についてまとめたいと思います。

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因果律と厄介な基準点

みなさん、こんにちは。

今回も引き続き高校物理の重要ポイントについて説明と解説をしていきます。

第二回は物理基礎の力学の後半です。

始めに運動方程式についてです。これは間違えるというよりも、解釈の仕方を変えてほしいのがポイントです。一般的にma=Fと表され、質量と加速度によって力が求まる式ではあるのですが、ある質量をもった物体が加速度を受けたとき、力が加わっているという解釈で覚えてほしくはないです。なぜならば、その加速度はいったいどこから現れたのか、という事になりかねないからです。加速度は唐突には現れません。ではどうするべきでしょうか?それは、原因と結果を入れ替える、つまり運動方程式はある質量をもった物体が力を受けたときに加速度を持ったという解釈に変えて欲しいのです。これであれば、加速度が出てきた理由も明確になり、すべての要素の存在が不自然ではなくなります。物理は基本的に説明できないものを嫌います。なので運動方程式であっても意識を変えるようにしましょう。

次に力学的エネルギーについてなのですが、ここでは二点について話したいと思います。まず一点目は、位置エネルギーの基準点についてです。位置エネルギーの基準点は基本的にどこでも取ることができます。これが厄介なのです。基準点という0ポイントが、どこでも取れてしまうがゆえに、エネルギーの変化量がマイナスになってしまうことがあります。それを注意せずにエネルギー保存則の式に入れると、計算がおかしくなることがあるので、注意してください。

二点目も位置エネルギーなのですが、これは位置エネルギーと経路の問題です。一番わかりやすいのは振り子でしょう。天井から釣り下がった振り子が一番わかりやすいです。この振り子における最低点の速度は力学的エネルギーで求めるのが最も効率が良いのですが、多くの生徒が位置エネルギーの高さの位置がどこを取るのかわからないという事があります。このような時に重要なのが、力学的エネルギー保存則なのです。たいていの場合、これをよく理解していないからわからないという事が多いです。力学的エネルギー保存則は、「物体に保存力だけが働くとき、または保存力以外の力が働いても仕事をしないとき、力学的エネルギーは一定に保たれる」という事です。つまり、保存力だけでできているならば、どのような経路であっても力学的エネルギーは変わらないという事なのです。これより、振り子において位置エネルギーの量は最低点の高さから求めればよいということがわかります。振り子に沿わせる必要はありません。

今回は物理基礎の力学(後半)についてまとめました。次回は物理の力学についてまとめます。

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物理基礎ですら重要ポイントはある。

みなさん、こんにちは。インターンシップ生の塚原大貴です。

今回から高校物理における重要なポイントについて説明と解説をしていきたいと思います。

塾講師として様々な生徒に物理を教えてきたので、生徒がよく間違えていたり、勘違いをしていたりするところをポイントとして抑えていきたいです。

第一回は物理というより、物理基礎の力学の前半についてお話ししたいと思います。

最初によく勘違いしやすいのが相対速度です。相対速度は簡単に言えば自身と相手との速度差のことであるのですが、厳密には動く物体自身から他の動く物体を観測したときの他の物体の速度のことを指します。そのため、観測者を二物体間のどちらに置くかで導出方法と計算結果が変わってきます。また、相対速度はベクトルでの導出であり、結果に向きが備わってくることにも注意しましょう。

次に等加速度直線運動です。等加速度直線運動と言えば公式でしょう。速度についての式と位置のついての式はたいていの生徒は覚えています。ですが、第三式である速度の二乗の差の式から距離または加速度を求める式の存在を忘れる生徒はとても多くいます。第三式を使うような問題はそう多くないため、使わないうちに忘れてしまうという事が多くあります。しかし第三式はとても重要です。なぜなら、時間の変数tが一切含まれていないからです。つまり、初速度と速度の値に加え加速度がわかっていれば距離を求めることができ、逆に位置がわかっていれば加速度がわかるということなのです。このおかげで時刻を求める手間を省くことができます。第三式は、第一式と第二式を連立して解くことで求められるので、わからなくなったときは覚えている第一式と第二式を連立して導出できるようにしておくことをお勧めします。

最後に物体の落下運動についてです。自由落下、鉛直投射は加速度の向きが常に一定なので、式もシンプルになり、そこまで難しくありません。しかし、水平投射と斜方投射は運動の向きが刻一刻と変わっていくので運動の向きを分解して求めなければなりません。分解したときに、水平方向の運動は等速直線運動であり、鉛直方向の運動は自由落下及び鉛直投射になりますが、こうなることがわかっていない生徒は多くいます。よくあるのが、水平方向がなぜ等速直線運動になるのかです。これに関してはシンプルに考えればわかるのですが、水平方向には“一切加速度がかかっていない”からです。水平投射にしても斜方投射にしても、その場においてかかっている加速度は重力加速度のみであり、しかも向きは鉛直下向きなのです。つまり、鉛直方向には重力加速度が下にかかっているために等加速度直線運動の要素が加味されるのに対して水平方向は、打ち出されてから何の影響も受けません。したがって等速直線運動が維持されるのです。斜方投射はこれに加えて三角関数の要素が加わってきます。力の向きと角度の関係に注意して解くことが重要です。いずれにせよ、水平投射と斜方投射は重力加速度の向きに注意して、運動を分解することが大切になってきます。

今回は物理基礎の力学(前半)の重要ポイントについてまとめました。次回は物理基礎の力学(後半)についてまとめてみたいと思います

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