誰にでもできる!お菓子作りのススメ#03

 この記事では普段料理をしない人へ向け、お菓子作りの良さを紹介していこうと思う。

 今回も、前回に引き続き初めてでも簡単に作れるレシピを紹介していく。今回取り上げるのはパウンドケーキだ。初心者がちゃんと膨らむパウンドケーキを作れるのだろうか、と心配になるかもしれないが、これも非常に簡単に作れる上に味の拡張性も非常に高く、一度作ったら別の味にも挑戦したくなること間違いなしなので、ぜひともまずは一度作ってみてほしい。なお、前回と同様に特定の食材にアレルギーがあったり、他に使いたい材料があったりする場合は各自で最適なレシピを探してみてほしい。

材料
 卵2個、溶かしバター70g(サラダ油でも可)、牛乳70g、砂糖70g、
 ホットケーキミックス200g(一袋)

1. 材料を全て混ぜ合わせる。この時泡立てる必要などはなく、ホットケーキミックスの粉っぽさがなくなればそれで大丈夫だ。

2. 材料が混ざったら型に流しこんでいく。チーズケーキの時と同様に型には何を使っても問題ない。

3. オーブンを予熱したのち、180℃で30分ほど焼く。この時10分焼いた段階でケーキの真ん中に切れ目を入れると綺麗に開けるのでおススメだ。

4. 30分焼いたらケーキに竹串を刺し生の生地が付かなければ完成。焼き足りてなければ5分ずつ焼いて様子を見ていく。

 いかがだろうか。これを読んでもらうと作り方に関してはチーズケーキの時とほとんど変わらないことがわかるだろう。使う材料が少し違うだけで全く違うお菓子が出来るところもお菓子作りが面白い点だと私は思う。また、今回はホットケーキミックスを使用したが、これは小麦粉、ベーキングパウダー、油脂、砂糖など、生地を膨らませるのに必要なものが全て1つにまとまっている優れモノだ。普通にホットケーキを作る以外にもドーナツやアメリカンドッグの生地を簡単に作れたりと実に多種多様な使い道があるので気になった方は調べてみよう。
 また、今回私が冒頭で言った味の拡張性についてだが、今回作ったプレーンのものをベースとして、生地にチョコや抹茶を混ぜたり、ドライフルーツやクルミなどを混ぜたり、クリームを塗ったりと、パウンドケーキはお菓子の中でも一番といっていいほどアレンジがしやすいのだ。分量を少し変えるだけで簡単に味を変えられるのでぜひとも色々な味に挑戦してみてほしい。

 さて、全三回にわたってお菓子作りの魅力について伝えてきたがどうだっただろうか。この記事で少しでも多くの人にお菓子作りに興味を持っていただけたら幸いである。

参考レシピ…https://cookpad.com/cooking_basics/5368

誰にでもできる!お菓子作りのススメ#02

 この記事では普段料理をしない人へ向け、お菓子作りの良さを紹介していこうと思う。
 前回はお菓子作りを勧める理由として、お菓子を自分で作ることの良さを説明した。そこで今回からは、これからお菓子作りに挑戦しようと思っている人へ、初めてでも簡単に作れるようなレシピをいくつか紹介したいと思う。

 最初に紹介するのは前回でも少し触れたチーズケーキだ。チーズケーキがおススメである理由としては、どこの家にでもある機材で作れ、難しい工程を全く含まない上に、素材にかかる費用もとても手頃だからである。ちなみにここではレシピの一例を紹介するが、前回でも触れた通り現在では検索すれば同じチーズケーキでも実に多種多様のレシピが出てくる。特定の食材にアレルギーがあったり、他に使いたい材料があったりする場合は各自で最適なレシピを探してみてほしい。

材料
 土台部分…ビスケット10枚ほど、バター50g
 ケーキ部分…クリームチーズ200g、砂糖70g、卵2個、薄力粉大さじ3、
生クリーム150g、

1. 土台を作る
 まず、チーズケーキの下に敷く土台を作る。土台に主に使われるのは市販のビスケットなどだ。まずこのビスケットを袋にいれ細かく砕く。次にこれにバターを少し溶かしてから混ぜ合わせる。混ざったらケーキの型に敷き詰めれば土台は完成だ。ちなみにこのケーキの型は持っていればケーキ用の丸型で、なければスーパーに売っているような紙の型でも問題ない。完成した土台は冷蔵庫に入れておき休ませる。

2. ケーキの材料を混ぜる
 材料のうち、ケーキ部分に載せた食材を混ぜ合わせる。この時、クリームチーズは常温に戻してあると混ぜ合わせやすい。

3. 型に流し込み焼く
 材料がうまく混ざったら、最初に作った型に流し込む。流しこんだら軽くトントンと叩き空気を抜いてやるとよい。予熱の後、オーブンで170度で45分焼けば完成。

 いかがだろうか。出来るだけ簡潔に紹介したが、「たったこれだけ!?」と思った方もい ることだろう。実際とても簡単なので、これからお菓子作りを始めたい方に特におススメできる。また、手順になれたらお好みでレモン汁を加えたり、ブルーベリーなどを混ぜてみたりと、カスタマイズの拡張性も十分あり、好みのものを作りやすい点からもチーズケーキはおススメである。ちなみに、同じ材料を使い、焼く代わりに追加でゼラチンを加え、冷蔵庫で冷やし固めるとレアチーズケーキとなる。こちらの方が好きという方はぜひやってみるといいだろう。

 さて次回はもう一つの初心者向けおススメお菓子のパウンドケーキを紹介したいと思う。こちらも簡単に作れる上に、実に多様な味に変えていくことが可能なので気になる方は次回も読んでみてほしい。

参考レシピ…https://cookpad.com/recipe/1383540

誰にでもできる!お菓子作りのススメ#01

 この記事では普段料理をしない人へ向け、お菓子作りの良さを紹介していこうと思う。
お菓子作りと聞いて、普通の料理よりも難しそう…と感じる人も少なくないだろうが、しっかりと理解してしまえば決してそんなことはない。また、お店でお菓子を買うのに比べ、いくつも利点があるので今回はその点などを踏まえながら、お菓子作りを勧める理由を解説していく。

 勧める理由の1つ目は、コストパフォーマンスの良さだ。例えばチーズケーキワンホールを作る場合、スーパーで手に入るような一般的な素材を使用すると材料費は大体500~700円程度になる。これがケーキ屋のものとなるとホールだと安くても1500円以上はかかってしまうだろう。また、カフェなどでチーズケーキを食べようと思った場合、自作の材料費と同じ値段では4分の1程度にカットされたものしか食べられないだろう。もちろん、お店で売られているお菓子は材料費の他に技術料などが含まれるため当然と言えば当然なのだが、自分で作ることによってどれだけ安く、また多く食べることができるかは伝わっただろう。このコストパフォーマンスの良さは、自分で好きなお菓子を安くたくさん食べたり、友人を集めて一緒に食べたりと様々な状況においてありがたい存在となるといえる。

 続いて2つ目の理由は、特殊な機材や技能をほとんど使用せずに作れる点だ。もちろんより手の込んだ物に挑戦する場合はこの限りではないが、機材に関してはほとんどのお菓子はどこの家にでもあるようなものや、近所のスーパーや100円ショップなどでいつでも手に入るものだけで作ることができる。強いて言うならば焼き菓子を作る際にオーブンが必要になるといったぐらいだろうか。また技能についてもほとんどのお菓子において特筆するようなものは必要ない。材料を混ぜて焼く、の2つの手順で完成するお菓子もたくさんあり、レシピさえ分かっていれば非常に簡単に作れてしまうのだ。分量や時間さえ間違えなければ普通のご飯の調理よりも簡単であることも多い。レシピについても、今ではクックパッドのような多数のレシピを掲載しているインターネットサイトは多く存在しており、自分の手持ちの素材に合わせて最適なレシピを探すことも難しくない。このように、現在では正しいお菓子の作り方は誰でも理解し再現することが可能になっているのである。

 このほかにも、1人ではお菓子屋には入りにくいと感じている人でもお菓子を食べれたり、自分好みの味にカスタマイズできたり、完成の達成感を味わえたり、お菓子を食べてもらうことで周りから料理が上手い人のように思われたりと、自分が実際に体感していることだけでもまだまだ多くのお菓子作りによるメリットがある。少しでもこれらの点に魅力を感じていただけたのなら、ぜひともお菓子作りを始めてみてはいかがだろうか。

ウイスキーを巡る

 前回と前々回の記事ではウイスキーの飲み方について紹介した。ウイスキーは様々な表情を魅せるお酒であり、それを楽しむには様々な飲み方をする必要がある。前回はハイボールについて詳しく紹介した。ハイボールはウイスキーの新たな可能性を見ることが出来る魅力的な飲み方であり、バリエーションも多く存在し、それぞれの魅力があるものだ。今回は、私がウイスキーをより好きになるきっかけとなった2つの蒸留所見学の体験についてお話しようと思う。

 最初に見学したのは宮城峡蒸留所だ。この蒸留所は大日本果汁、後のニッカウイスキーの社長として竹鶴が二番目に創業した蒸留所だ。ニッカの最初の蒸留所、余市蒸留所と異なる方式で蒸留を行い、ローランドのように華やかで軽快な、余市蒸留所とは異なるウイスキーを作り上げている。これにより、ブレンドに奥行きを持たせることに成功している。

 宮城峡蒸留所は宮城県仙台市に存在し、その気候は北国の中でも穏やかである。ウイスキーの貯蔵に有利な深い森林の中に宮城峡蒸留所は建造された。蔵王連峰を経て流れてくる新川の伏流水は、低硬度で、ウイスキー作りに最適である。スコットランド内のローランドのような気候、風土を求めていた竹鶴にとってこの地は理想的なものであった。

 宮城峡蒸留所は自然を大切にしなければ美味しいウイスキーは作れないという、竹鶴の自然の敬意を表すように、自然の地形や森林を最大限に守り、景観に配慮されて作られている。入り口から600m先に受付があるのはこの自然とレンガ造り蒸留所を楽しんでもらうための演出である。その道にあるポットスチルも我々の気分を高揚させてくれる。見学は予約制で、見学中はガイドが説明をしながら案内をしてくれる。見学中に香るウイスキーの青りんごのような甘い香りは忘れることが出来ない。また見学の最後にウイスキーの試飲が出来、そこでは新川の伏流水やそれを使った炭酸水も提供され、ウイスキーと合わせて楽しむことが出来る。付近にはビジターセンターもあり、お土産を購入したりニッカのウイスキーを楽しんだりすることが出来る。
 次に見学したのは山崎蒸留所である。この蒸留所は日本最初の蒸留所であり、サントリーのウイスキーラインナップの肝である響のキーモルトである、山崎を製造している。山崎蒸留所は多彩な原酒を製造し、奥行きのあるシングルモルトを生産している。

 山崎蒸留所は大阪府三島郡本町に存在し、付近には名水100選に選ばれた水無瀬神宮の離宮の水を擁している。水だけでなく、川が合流する霧が立ち込める立地も湿度が高くウイスキー作りに適したものである


 山崎蒸留所では、宮城峡蒸留所で見学が出来なかった稼働中のポッドスチルを見学することが出来る。蒸留中は周囲の温度が上がるため、見学時間は一瞬だが、ウイスキーを愛する者にとって、心が躍る時間であるのは間違いない。見学最後の試飲では、ブレンダーの飲み方を説明されつつ、3種類の山崎を楽しむことが出来る。その後に宮城峡同様、試飲やお土産の購入などを楽しむことが出来る。山崎ではそのどちらでも限定品が用意され、試飲ではニューポッド、所謂、山崎0年や、樽から出したばかりの山崎、カスクストレングスがメニューに用意されている。お土産には試飲で使われるティスティングを購入することが出来る。
 今回は宮城峡蒸留所、山崎蒸留所を見学した時の体験について話した。蒸留所を見学することで、より一層、魅力的なウイスキーを楽しむことが出来るのではないかと考える。
 これまでの記事を通して、魅力的なウイスキーの世界が貴方に伝わったのなら幸いだ。

今日のウイスキー 宮城峡

 今日のウイスキーは宮城峡です。後ろには宮城峡蒸留所を見学した際に購入した限定品の、宮城峡、フルーティー&リッチ、シェリー&スイート、モルティ&ソフト、カフェグレーン、ウッディ&メロウ、そして2001年から2010年の原酒を使用した宮城峡2000を並べています。今回は私の最終回なのでオリジナルと2000を品評していきます。
 まずは宮城峡、香りは蒸留所を包んでいた青りんごのような酸味のあるさわやかな甘い香りがします。口に含むと、リンゴだけでなく、様々なフルーツの香りがします。味わいはフルーティーに甘酸っぱさが広がります。温度を下げると若干ビターな感じもありますね。
 次に宮城峡2000。全体的にオリジナルより強く感じます。オリジナルがノンエイジ、熟成が若いのに対し、こちらはそれぞれ最低でも9年以上の熟成を経ているからでしょうか。オリジナルでうっすらと感じたビターチョコのような印象もしっかりと得られます。
 宮城峡は余市と比べ酒質が軽いため、熟成の影響を大きく受ける印象があります。ノンエイジでは、ピート感でアルコールの粗っぽさが隠れる余市の方が好みでしたが、熟成が進むにつれ宮城峡の魅力が勝っていくのではないかと思わせてくれました。
 是非一度、宮城峡蒸留所を見学してご賞味ください。

ウイスキーを美味しく飲む(1)

 前回はウイスキーの飲み方について紹介した。ストレートは何も入れない飲み方でウイスキーを最も素直に飲む飲み方である。また温度や加水を変えるロックや水割りによってウイスキーは様々な表情を見せるのだ。前回に引き続き、ウイスキーの表情を見るための飲み方について紹介する。今回は日本の食文化にも結び付きつつあるハイボールという飲み方を紹介する。

 若者のお酒離れが叫ばれて久しい今日でも、ウイスキーの人気は根強い。国税庁の「酒のしおり」によると2008年以降、ウイスキーの消費量は年々伸びている。その一因となっているのは、ハイボールという飲み方だろう。ハイボールはウイスキーを炭酸水で割るカクテルである。この飲み方が広まったのは、2008年のサントリーの角ハイボールのCMによる影響が大きいと考える。そのCMでは女優を起用し、さわやかで飲みやすいお酒というイメージを定着させることに成功した。この他にも、飲食店との提携や缶ハイボール等の、サントリーのハイボール戦略の影響は非常に大きい。また、このハイボールという飲み方が、日本の文化であるお酒を食事と合わせて楽しむ事に合っていたことも挙げられる。
 ハイボールは炭酸とウイスキーを合わせた誰にでも作れる非常にシンプルなカクテルだ。しかし、誰が作っても同じ味であるとは限らない。ハイボールを作る際の些細な違いが味の違いを生むのだ。また、ハイボールのシンプルさ故に、このカクテルには非常に多くのバリエーションが存在する。一般的なレモン果汁を加えるアレンジに始まり、加える柑橘系のすだちやゆず等に変えたもの、果汁を絞るのではなく、皮、ピールを絞ったり、すりおろしたりしたもの、一味や山椒、コショウ等のスパイスを加えたスパイシーハイボール等、枚挙に暇が無い。
 ハイボールを作る際に考えねばばらないことは、如何に炭酸を残したまま、冷えたハイボールを作るか、である。その作り方の一例を紹介する。その第一歩は冷えたグラスを用意する事に始まる。炭酸は温度が低い程、液体の中に残るため、グラスは冷えていることが望ましい。冷凍庫や冷蔵庫でグラスを冷やしておいても良いが、よりお手軽な手法として氷を入れ、混ぜる(ステアする)ことでグラスを冷やす方法がある。その際、氷を多めに入れ、そのままハイボールの氷に用いることで、解けやすい部分、角が取れた氷として用いることが出来る。この時、溶けた水分はハイボールを薄くしないため捨てる必要がある。次のポイントはウイスキーの注ぎ方だ。冷凍保存されたウイスキーならば考慮の必要はないが、炭酸水を注ぐ前にウイスキーの温度も下げておくことが望ましい。グラスに注ぐときに、なるべく氷に当てるように注ぎ、炭酸水を注ぐ前に一度ステアしてウイスキーを冷やす。この時、氷は刻一刻解けているため、時間を掛けすぎないよう注意する。ウイスキーが冷えたら炭酸水を注ぐのだが、この時、氷に炭酸水を当てると炭酸が逃げてしまうため、マドラーに沿わせて注ぐなど注意する。この時、グラス内部では対流が起こっており、ある程度ウイスキーと炭酸水は混ぜられている。そのため、炭酸水を注いだ後はマドラーを上下させつつ一周させる等、簡単に増せる程度にすることで炭酸が抜けることを防ぐ。これでハイボールの完成だ。
 ハイボールはウイスキーの新たな可能性を見ることが出来る魅力的な飲み方だ。様々な形態で日本のウイスキー消費を支えており、バリエーションも多く存在している。ハイボールの魅力は、多くの人に愛されるウイスキーを更に多くの人に伝えるものとなった。

今日のウイスキー マンハッタン

 今日のウイスキーは、ウイスキーを使ったカクテルマンハッタンです。ニューヨークのマンハッタンに由来するこのカクテルは、「カクテルの女王」と呼ばれることもあります。シンプルなレシピに共通することですが、特にこのマンハッタンは、まるで気難しい女王のように、ほんの少しの量の違よりいでその味は大きく変化するので、バーテンダー泣かせのカクテルともいわれています。
 ウイスキーの魅力を伝えるのはストレートや水割り、ロックだけではありません。マンハッタンやハイボール等のウイスキーベースのカクテルもウイスキーの魅力を引き出す一つの飲み方です。ウイスキーだけでなく、カクテルの世界も深淵で、使うお酒の選定から、氷や炭酸水等の副材料の選定、作り方や技術等、無限とも言える世界が交わった世界は、宇宙に似た深淵を感じますね。
 さて、そのカクテルの女王ことマンハッタンの味わいですが、ウイスキーよりも加えたスイートベルモットの甘味が特徴的です。その後にウイスキーのどっしりとした芳醇な香り、味わいもしっかりと主張してきます。その奥に感じるほろ苦さはビターズから来るのかもしれませんね
 是非一度ご賞味ください。

ウイスキーを美味しく飲む(1)

 前回はジャパニーズウイスキーの歴史や特徴について紹介した。ジャパニーズウイスキーの様々な要因がもたらす多様性と繊細さは、世界中の人に認められている。そして、前回までの5回の記事を通して五大ウイスキーの魅力を紹介した。そのウイスキーの魅力を更に引き出すには、飲み方が重要である。今回から二回の記事を通して、そのウイスキーの魅力を味わう様々な飲み方を紹介しようと思う。その始めとして今回は3つの飲み方について紹介する。

 ウイスキーを最も素直に味わう飲み方はストレートである。ストレートはウイスキーに氷や水を加えずに飲む飲み方である。ストレートのポイントは二点ある。一点目はゆっくり飲むことである。ウイスキーは、体への刺激の強い蒸留酒である。健康を害する可能性があるのは勿論、その刺激故に、一度に多くを口に含むと、健康を害する可能性があるのは勿論、その本来の味わいを楽しむことが出来ない。2~3ml程度をゆっくりと楽しみむこと、また、間に水等のチェイサーで口をリセットすることで、よりウイスキーを楽しめる。もう一点はグラスである。口が触れる部分「リム」が香りを閉じ込めるよう絞られ、ウイスキーが貯まる「ボウル」がウイスキーの香りを解き解すよう膨らんだ、ティスティンググラスを使うことで、その香りをより味わうことが出来るだろう。

 しかし、ストレートだけではウイスキーの魅力を十全に味わうことは出来ない。ウイスキーの香りは加水、つまり水を加えることによって花開くと言われている。所謂、水割りという飲み方も、ウイスキーを楽しむ飲み方なのだ。特にウイスキーと水を同量ずつ合わせる飲み方をトゥワイスアップといい、ブレンダーの多くがこの飲み方でウイスキーをチェックしていると言われている。一部の愛好家の間では、ストレートから徐々に加水して香りや味の変化を楽しむ飲み方も存在する。この飲み方のポイントも二点ある。一点は加水率だ。ウイスキーの香りは閉じた花のようで加水によって花開く。しかし、一定の加水率を超えてしまうと花が枯れてしまうように、香りも味も薄いものになってしまう。化学的にはアルコール度数20度程度が最も良いとされている。そのため、多くのウイスキーが40度でボトリングされていることを考えるとトゥワイスアップは化学的に最適な飲み方なのだ。もう一点は加える水にある。ウイスキーの命は水にあると言われており、そのの香りは繊細で、水の影響は非常に大きい。水道水の塩素やミネラル分の影響を考えると、一般的には軟水から中程度の硬水が無難と言われているが、精製水を加える場合もある。個人的には生産地の近くの水を用いることが最適ではないかと考えている。
 ウイスキーの飲み方を考える上で最も多くの人が想像するのがロックではなかろうか。ロックはロックグラスと呼ばれる専用のグラスに氷を飾り、ウイスキーを飲む飲み方だ。一般にウイスキーの香りは常温が最適である言われているが、実際は温度が下がることで香りが引き締まり、常温では分からない香りまで味わうことが出来るのだ。また刻一刻と加水率が変わるため、その変化を楽しむこともできる。高い加水率が好みならばあらかじめ加水を行うハーフロックや、細かな氷を沢山入れたミストという飲み方も良いだろう。この飲み方のポイントは水と氷にある。水割で述べた通り、水の影響は非常に大きく、当然氷も水となるのだからその影響は大きい。氷は不純物を含むと白く凍るため、透明な氷を用いることが望ましい。コンビニやスーパー等で販売されている板氷やロックアイスや、家庭でも透明な氷を作ることが出来る専用の製氷機で作った氷を用いるのが望ましいだろう。

 今回はストレート、水割り、ロックという飲み方について紹介した。ウイスキーは温度や加水によって様々な表情を見せる魅力的なお酒なのだ。

今日のウイスキー 響(響 JAPANES harmony)

 今日のウイスキーは響、ジャパニーズハーモニーです。響はジャパニーズウイスキーの最大手、サントリーのラインナップの核となるウイスキーです。サントリーの所有する全ての蒸留所、キーモルトである甘くまろやかな山崎、キレのあるピーティーな白州というモルトウイスキーと、さっぱりとして穏やかな知多というグレーンウイスキーをブレンドして作られています。
 ジャパニーズウイスキーと言えばこの響を想像する人が多いと思います。その理由は、ジャパニーズウイスキーの中で最も多くの賞を受賞しているからだと思います。ジャパニーズウイスキーは粗製濫造の時代から品質を上げ、2000年以降、多くの賞を受賞してきました。2001年にはジャパニーズウイスキーが、「ウイスキーマガジン」にて、「ベスト・オブ・ザ・ベスト」の1位、2位を独占した程、その活躍は目覚ましいものです。響は様々な面において世界に認められる魅力的なウイスキーなのです。
 さて、その品評についてです。まず、アルコールの香りがあり、そのあとに柑橘系のさわやかさがほのかに香ります。口に含むとはちみつのような甘い香りがします。まろやかな甘さを感じますが、アルコールの刺激を感じます。賞を受賞した響の12年や21年、30年と比べて、ノンエイジ、熟成年数の若さを感じます。正直なところ、サントリーのローヤルや、フロムザバレルと比較すると、価格も高価で、物足りない印象も受けますが、これから原酒が熟成を重ねていき深みを増していく響を想像させてくれるウイスキーです。
 是非一度ご賞味ください。

ジャパニーズウイスキー

 前回はスコッチウイスキーと種類について簡単に紹介した。その歴史に裏付けられた多様で巧妙な製法と、そこからくるウイスキーの魅力は多くの人を虜にしている。今回はそのスコッチウイスキーを学び作られた、ジャパニーズウイスキーについて紹介する。

 日本にウイスキーが伝来したのは黒船、ペリーの来航の時であると考えられている。しかし、明治時代、日本での本格的なウイスキーの生産は無く、砂糖、香辛料を酒精アルコールに加えた模造ウイスキーが薬酒として出回っていた。明治末から大正時代に日本でもスコットランドのウイスキーを模倣しウイスキーの生産を見る動きがあり、1924年に日本初の蒸留所、山崎蒸留所が作られ、原酒の蒸留、ウイスキーづくりが始まることとなる。
 日本のウイスキーの定義は非常に緩いこともあって、かつての日本では品質が芳しくないウイスキーが出回っており、世界の愛好家と評論家はジャパニーズウイスキーはウイスキーではないと品評していた。しかし、ジャパニーズウイスキーの品質は大きく向上し、ジャパニーズウイスキー評価は高まっていった。特に、日本最初の蒸留所である山崎蒸留所と、大日本果汁、現在のニッカウイスキー最初の蒸留所、余市蒸留所のシングルモルトは高い評価を得ている。その評価はスコッチウイスキーを凌ぐほどであり、このため海外におけるジャパニーズウイスキーの価格は高騰しており、一本100万ドル、一億円近い価格で取引された例もある。
 日本のウイスキーはスコッチウイスキーに倣って作られた。しかし、スコッチウイスキーのスモーキーさは日本人の好みに合わず、スモーキーさが抑えられているという特徴がある。またミズナラの樽によるココナッツのような香りや、高級木材のような芳香、も特徴的である。また、ジャパニーズウイスキー独特のブレンドスタイルが特徴として挙げられる。世界的には、様々な蒸留所のウイスキーをブレンドすることが多いブレンデッドウイスキーだが、日本のウイスキーは多くの蒸留所のウイスキーをブレンドすることは少ないため、蒸留所内でスモーキーで力強いものから、フルーティーで繊細なものまでさまざまなウイスキーを幅広く蒸留、製造している。これによって多様なウイスキーがブレンダーの繊細な技術によって作り上げられている。日本では食事と共にお酒を楽しむ文化があり、ウイスキーについてもその例外ではなく、世界的に独自な文化として捉えられている。その文化故に、食事との相性を考えた、端麗で辛口なウイスキーの存在も多様性を冗長している。

 ジャパニーズウイスキーは多様であるため、お勧めしたい飲み方もボトルによって異なる。それは様々な要素を加味しながら、最適な飲み方を探る楽しみを教えてくれる。また、味の違いから、蒸留所、原料や蒸留法、熟成期間や樽材等、に思いを馳せながら、ウイスキーを楽しむのも一興である。
 今回はジャパニーズウイスキーの歴史や特徴について紹介した。ジャパニーズウイスキーは様々な要因がもたらす多様性と、そこから生まれる繊細さを持っている。日本人の口に合わせただけでなく、世界的な評価も非常に高い魅力的なウイスキーなのだ。
 

今日のウイスキー 竹鶴 ピュアモルト

 今日のウイスキーは竹鶴です。ピュアモルトという、余市と宮城峡、複数の蒸留所のモルトウイスキーを合わせた特殊なブレンドのウイスキーです。このウイスキーの名前は大日本果汁、後のニッカウイスキーの創業者の名前からとられています。
 竹鶴政孝は日本のウイスキー史に欠かせない存在です。ジャパニーズウイスキーの製造はスコッチウイスキーの製法を再現することから始りました。竹鶴は、スコットランドに留学し、蒸留所で見学、実習に励みました。その知識と経験を元に、日本初の蒸留所、山崎蒸留所でのウイスキー作りが行われることになります。他にも、留学中のノートは竹鶴ノートと呼ばれ、戦後、そのノートを元にウイスキーが作られる等、彼が日本ウイスキー史に与えた影響は計り知れません。
 さて、本題に戻って竹鶴を品評していきます。香りはまずレーズンのような香りがします。その後青りんごのような柔らかな酸味と甘みがあります。この香りは宮城峡からきているのでしょうか、宮城峡蒸留所を見学しに行ったときはこの香りが蒸留所全体でしていました。加水すると現れるナッツのような香りや、レーズンの香り、ライムのようなさわやかさは余市からきているのでしょうか。味わいは、少々アルコールの辛味があり、奥からリンゴのような酸味と柑橘系のような苦みがついてきます。ここでも余市と宮城峡が上手く調和しているように感じました。ニッカウイスキーのモルト二種を味わえる素晴らしいウイスキーだと思います。
 是非一度ご賞味ください。

スコッチウイスキー

 前回はアイリッシュウイスキーの歴史や製法について説明した。アイリッシュウイスキーはとても古い歴史を持ち、伝統的で独自性の高い製法により特異な味わいを持つ深い魅力的なウイスキーであると紹介した。今回はアイルランドから伝来したという説もある、アイリッシュウイスキーとどちらが歴史があるかの議論に決着がつかないスコッチウイスキーについて紹介する。
 
 ウイスキーの製法がスコットランドに伝わった時期は遅くとも12世紀から13世紀の間であるという説が有力である。蒸留技術はアイルランドからキリスト教と共に伝来したという説もある。スコットランドのウイスキー作りに関する最も古い資料に15世紀後半の財務省の記録がある。当初ウイスキーは薬酒として修道院が独占していたが、16世紀の宗教改革により民間に広まり、余剰穀物の換金手段として生産が盛んになった。
 スコットランドのウイスキー史の話には密造の話が欠かせない。スコットランド王国がグレートブリテン王国の一部となった際に、戦争費捻出のため課税が強化された事によって、ウイスキーが密造されるようになった。19世紀初頭、正規業者の製品より密造ウイスキーの方が品質が遥かに良く、国王が密造ウイスキーを愛飲したため、税率が引き下げられた。税率が引き下げられるまでウイスキーの密造は続き、拡大し続けていた。そして税率の引き下げ後、多くの政府公認の蒸留所が誕生することとなる。
 密造時代にウイスキーの製法は確立していった。その一つとして、ウイスキーを隠し保存するため、樽に入れていたことから熟成の工程が生まれた。また、原料の乾燥のための燃料として、選択しが無かった事から泥炭が使われ、スモーキーな風味が生まれた。更にモルトウイスキーのポッドスチル(単式蒸留器)で二回蒸留する事もここで生まれた。
 19世紀初頭に連続式蒸留器が生まれたことでウイスキーづくりは多様化することになる。連続式蒸留器はウイスキーの大量生産を可能にし、安価な穀物であるトウモロコシを利用したグレーンウイスキーを誕生させた。ローランド地方ではグレーンウイスキーの生産が積極的に行われ、ハイランド地方ではモルトウイスキーの生産を維持しており、この二つを混合させるブレンデッドウイスキーが生まれることとなる。
 スコッチウイスキーは生産される地域を元に4種類、または6種類に分類される。4種類の分類は、地域ごとの酒類生産免許の規則に基づき、ハイランド地方、ローランド地方、キャンベルタウン、アイラ島に分けられている。6種類の分類では、蒸留所の多いハイランド地の中でもウイスキーの生産が盛んなスペイサイド、オークニー諸島等(アイランズ)を独立させ、6種類としている。
 それぞれの特徴を述べていくと、まず、ハイランド地方のウイスキーは多様性に富んでいる。ピートが強く、飲みごたえがあるものが多いものが多いと言われている。スペイサイドのウイスキーは、最も華やかでバランスに優れてた銘酒揃いと評される。大麦の生産量とピートが豊富な地域である。ローランドはグレーンウイスキーの生産が最も盛んで、穏やかな風味のウイスキーが多い。アイラ島は温暖な気候を生かした大麦の栽培が盛ん、かつ、良質な水が手に入るウイスキーづくりが盛んな地域である。海辺に蒸留所があることが多く、ヨード臭やスモーキーさが特徴的である。キャンベルタウンは元はウイスキーづくりが盛んな地域であったが、アメリカに粗製濫造のウイスキーを密輸し評価を大きく落とした。現在は三か所のみ蒸留所が稼働し、香り豊かで、オイリーで塩っぽいと評されるウイスキーを製造している。オークニー諸島等のアイランズには、共通した特徴は見られない。
 今回はスコッチウイスキーの歴史と種類について簡単に紹介した。スコッチウイスキーは歴史が長く膨大でその全てについて触れることは出来なかったが、ウイスキーの多様な形態を見ることでその魅力を知ることが出来るだろう。
 
今日のウイスキー THE GLENLIVET 12years of Age(グレンリベット12年)

 今日のウイスキーはグレンリベット12年です。グレンリベットは密造が盛んだった時代から製造を続け、多くの人に愛されているウイスキーです。国王が税率を引き下げるきっかけとなり、最初の政府公認蒸留所のウイスキーとなったのもこのグレンリベットです。
 グレンリベットを筆頭に、スコッチウイスキーには「グレン」という単語が入っていることがあります。スコッチウイスキーは、この「グレン」という言葉がスコッチウイスキーを想起させる言葉だとして、他国の「グレン」と名のついたウイスキー蒸留所を訴えたこともあります。ウイスキーの名前として使われる「グレン」はゲール語で谷を表しており、スコットランドの山や谷の多い自然環境故に多く名前にも入っているのかもしれませんね。
 本題に戻りグレンリベットの香りや味についてです。、12年の熟成を感じさせる角の取れた香りはリンゴのようなさわやかさを感じさせ、その後にハチミツのような甘さがやってきます。スコッチで言われるピート感は無く、癖のない上品な香りです。味わいは香りの通りの味わいで、酸味と甘みがあり、あっさりした印象です。ほんの少し感じる木の香りもウイスキーならではですね。モルトウイスキーの中でも一つ蒸留所で作られた、シングルモルトを初めて飲む人でも楽しめるウイスキーだと思います。
 是非一度ご賞味ください。

アイリッシュウイスキー

 前回はカナディアンウイスキーの歴史や製法について説明した。カナディアンウイスキーは、フレーバリングウイスキーとベースウイスキー、香味料を混ぜて作られ、軽く繊細な酒質で、最も飲みやすいウイスキーであると紹介した。今回はカナディアンウイスキーが台頭するまでアメリカに多く輸入されていたアイリッシュウイスキーについて紹介する。
 
 アイリッシュウイスキーの歴史はとても古い。その起源には様々な説があるが、少なくとも12世紀にはビールを蒸留した蒸留酒が飲まれていた記録がある。16世紀には最古の公認蒸留所が存在したと言われている。18世紀からアイリッシュウイスキーは高い評価を得ており、20世紀に至るまで世界のウイスキーシェアの6割を誇っていた。しかし、20世紀初頭、主な輸出先であるアメリカの禁酒法が実施され生産規模が縮小してしまう。それに加え、アメリカで密造された粗悪品にアイリッシュのラベルが張られていたことから評価も下がってしまった。それに追い打ちをかけるように、アイルランド内戦の影響を受け蒸留所が閉鎖された。それにとどまらず、戦後のイングランドによる報復としてアイリッシュウイスキーの市場締め出しを受けることとなった。また、第二次世界大戦時に自国のウイスキーを確保するため輸出制限を行ったことから、アメリカでの地位を完全に失うこととなった。
 しかし、戦後、「アイリッシュコーヒー」というカクテルの好評により、需要が高まることとなる。国策によって営業再開や、新たに操業する蒸留所も増え、現在では18の蒸留所が創業、16の蒸留所が創業予定、もしくは計画中である。
 アイリッシュウイスキーには4つ種類が存在する。モルト、グレーン、そしてそれらを混ぜたブレンデッド、そしてアイリッシュウイスキーで特筆される、ポットスチルウイスキーである。ポットスチルウイスキーは原料に、麦芽にした大麦、モルトと未発達な大麦「バーレイ」をそれぞれ30%以上、合計で95%以上使用している。またもう一つの特徴として、ウイスキーにスモーキーさを加える(野草や水生植物が元となっている、炭化の進んでいない石炭)泥炭、ピートを炊かず、石炭や木材が使用されることである。ポッドスチル(単式蒸留器)で複数回蒸留するため、滑らかな味わいになり、ピートを炊かないため穀物の芳醇な香りが引き出されている。
 アイリッシュウイスキーの特徴は酒質が軽く、なめらかで穏やかな味わいである。南国の果実のようなフルーティーさを感じる人も多い。ピートを炊かないだけでなく、材料にバーレイを用いることにより、穀物の芳醇さを強く感じる出来上がりとなる。石臼で粉砕、長時間の糖化を経たバーレイは、アイリッシュ独特のとろりとしたオイリーさを生じさせている。また、三回のポッドスチルによるの蒸留によって、雑味が少なく、軽い口当たりとなるのだ。
 酒質の軽さ、雑味の無さという特徴から初心者にも勧められるウイスキーであることは間違いないが、他のウイスキーに無い特徴的な味わいを持っているため、普段ジャパニーズやスコッチを飲む人にも勧められるウイスキーであると考える。アイリッシュコーヒーを代表するカクテルの素材として有名なアイリッシュウイスキーだが、ストレートやロックでもその特異な味わいを楽しむことが出来るだろう。
  今回はアイリッシュウイスキーについて説明した。アイリッシュウイスキーはとても古い歴史を持ち、伝統的で独自性の高い製法により特異な味わいを持つ深い魅力的なウイスキーなのだ。

今日のウイスキー JAMESON(ジェムソン)

 今日のウイスキーはジェムソンです。ジェムソンというウイスキーを作る蒸留所、ボウストリート蒸留所が創業した時代は、アイリッシュウイスキーの全盛期、正にウイスキーの主役はアイリッシュウイスキーという時代でした。ボウ・ストリート蒸留所はそのアイリッシュウイスキーの生産地でビック4に数えられる素晴らしい蒸留所でした。なんと一時期は生産量世界一位を誇る巨大ウイスキーメーカーだった程です。様々な影響で一度操業を停止してしまいましたが、その技術はミドルトン蒸留所に受け継がれています。元の蒸留所はジェムソン博物館となり、観光スポットになっています。
 様々な苦難を乗り越え、現在まで存続するアイリッシュウイスキー。その存続の理由は、アイリッシュウイスキーの伝統に基づく特異性だけでなく、アイルランドのウイスキーメーカーが結束し、総合力を高めたことにもあると思います。母体が大きくなり資金が潤沢になったことで、ジェムソンの生産量は単一の蒸留所で生産されたウイスキーとして世界三位にランクインしています。
 そのジェムソンについて、まず香りはアイリッシュウイスキーが持つ青りんごや南国の果実のようなさわやかな印象を受けます。ちみつのような甘い香りが最後に残ります。味わいは酸味が少々、柑橘系のピールのような嫌みの無い苦みがメインです。加水すると甘味を感じるようになりました。初心者にお勧めな飲みやすい一杯だと思います。
 是非一度ご賞味ください。

カナディアンウイスキー

 前回はアメリカンウイスキーについて材料や製法等について説明した。その特徴は、甘くまろやか、男性的、力強く無骨であり、誰でも飲みやすく、魅力なウイスキーと紹介した。今回はそのアメリカのウイスキーと密接なかかわりを持つカナディアンウイスキーについて紹介する。
 
 カナディアンウイスキーの誕生は、ビール工場に蒸留器が併設されカナダでのウイスキーの生産が始まった17世紀後半、もしくは、18世紀後半、アメリカ合衆国の独立戦争後にイギリス系農民がカナダに移住し余剰穀物を使ってウイスキーづくりを始めた時だと言われている。この当時のカナディアンウイスキーはアメリカ向けであったが、「OneDayWhisky」と呼ばれる、蒸留後すぐに出荷を行う熟成を行わない粗悪品であった。
 カナディアンウイスキーの転機は20年代前半のアメリカの禁酒法の時代、そしてその後、アメリカのウイスキー生産が回復するまでの時代である。この禁酒法によって、アメリカや、アメリカが輸入していたアイルランドのウイスキー生産は大打撃を受けることとなった。また、良質なウイスキーの生産には長い熟成が必要であるため、禁酒法撤廃後もウイスキーの出荷を行うことが出来なかった。しかし、カナダは長く陸続きの国境でアメリカと隣接しており、ウイスキーを密輸し、アメリカでの地位を確固たるものとし、大きく発展したのだ。
 カナディアンウイスキーは、主にトウモロコシ、ライ麦、モルトを原料にしている。特にカナディアン・ライ・ウイスキーを名乗る場合、ライ麦を51%以上使用する必要がある。これらの原料から主に麦類を原料とした個性の強いウイスキー、フレーバリングウイスキーと、主にトウモロコシを原料とした無個性なウイスキー、ベースウイスキーをそれぞれ蒸留し、熟成させる。その後、これらのウイスキーをブレンドしてカナディアンウイスキーは作られている。中には、ブランデーやワイン、バーボン、ラム等を風味付けの香味液として加えているものも存在し、これによってユニークなウイスキーも生まれている。
 カナディアンウイスキーの特徴は飲みやすさである。世界五大ウイスキーの中で最も風味が軽く、マイルドなウイスキーと言われている。これは、トウモロコシを原料としたベースウイスキーを70~90%使用しているためであると考えられる。
 酒質が軽いというだけでなく、スコッチやジャパニーズに比べてリーズナブルであることも含めて、初心者にもお勧めしたいウイスキーである。酒質の軽さから、水割りやハイボールでは魅力が失われてしまうため、繊細さを味わえるストレートやロック、様々なお酒とのハーモニーを楽しめるマンハッタンやニューヨーク、エッグノック等の様々なカクテルに挑戦することをお勧めする。
 今回はカナディアンウイスキーについて説明した。カナディアンウイスキーはアメリカの歴史と深いかかわりを持っている。また、フレーバリングとベース、そして香味液から作られれ、軽い酒質で飲みやすい魅力的なウイスキーである。。

今日のウイスキー Canadian Club(カナディアンクラブ)

 今日のウイスキーはカナディアンクラブです。カナディアンクラブは、カナディアンウイスキーの代表銘柄です。「C.C.」の愛称で、世界150か国で愛されています。19世紀後半に蒸留所を建設し、当時樽での販売がメジャーだった中でボトリングを行い、製造保証書を付けて販売した点がカナダのウイスキー史の多くで特筆されています。
 カナディアンウイスキーはカナディアンクラブの蒸留所が創業した19世紀後半まではライ麦を原料としたものが主流でした。しかし、連続式蒸留器の導入や、原料としてトウモロコシを利用し始める等、19世紀後半から大きな味の変化があったと言われています。現在のカナディアンウイスキーの、軽く繊細である特色はこの頃に作られたものだと言えますね。
 香りは花のようなバニラを思わせる甘さがあります。口に含むとほんの少しのアルコール感はありますが、香り同様、バニラの香りが口に広がります。バーボンを思わせる、熟成感は、6年という熟成期間だけでなく、カナディアンクラブの特徴である、ブレンドを行ってから熟成を行うプレブランディングという技法の賜物なのかもしれませんね。
 是非一度ご賞味ください。