アナログ絵描きによるコピック紹介(後)


 皆さん、こんにちは。インターン生の藤田侑花です。
第二回となる今回は、前回の続きとして、コピックセットについて紹介していきます。
 前回で述べたように、コピックはとても種類が多く、「何色を買ったら良いか分からない!」という方もいらっしゃると思います。そのような方に勧めるのが、コピックがまとめて売られているセットです。セットはいくつかありますが、ここでは私個人がおすすめするものを取り上げていきます。
 まず、コピックチャオからは、二つのセットを紹介します。
 一つは、「コピックデビューセット」(税別3600円)です。
  引用開始
  「初心者に使いやすい色組と、マルチライナー0.1mm、ぬり絵、スケッチブックSサイズ、さらにイラストによるコピックミニガイドなど、コピックイラストを始めるのに必要なものをセットにしました。」
  引用終わり
 マルチライナーとは、コピックの線画に適したペンであり、このセットには黒色と、明るい茶色のセピア色の二色が同封されています。また入っている色は、薄紫(BV00)、ピンク(RV02、RV10)、黄(BG23)、青(B02)、茶(E33)、薄グレー(C2)の全10色です。このセットは、「コピックデビュー」という名にふさわしく、すぐにコピックを使ったお絵描きが楽しめるようになっています。
 もう一つは、「スタート12色セット」です。
  引用開始
  「スタート用に厳選した12色セットです。少ない色数でも塗り重ねることで多様なカラーリングができます。」
  引用終わり
 このセットは、上の「デビューセット」に比べ、インクの彩度ややや高い色が多いと私は感じました。また入っている色は、薄紫(BV31)、ピンク(RV21)、肌色(R000)、赤(R35)、オレンジ(YR31)、黄(Y02)、緑(BG23)、青(B02)、茶(E31、E93)、薄グレー(W2)、カラーレスブレンダー(0番)の12色です。そしてマール社から出版されている、コピックの公式ガイド本「12色でスタート!はじめてのコピックイラスト」では、このセットを使ったイラスト制作の説明がされているため、合わせて購入するのが良いと思います。(コピックセットと本は別売りです。)
 次に、コピックスケッチからは、「コピックイラスト24色セット」(税別9,120円)を紹介します。
  引用開始
  「コミックイラストをはじめる方にぴったりの厳選セットです。各系統の基本色と、混色に便利な色をチョイスしています。」
  引用終わり
 このセットには、「使い方テクニックガイド」というガイドブックが付属しています。また、コピックの公式サイトではこのセットを使った作例が8つもあり、コピックのセットの中で最も多いです。上2つと比べて値段が高いですが、このセットだけで混色や、特に同系統の色によるグラデーションが簡単に作れます。実際に私がコピックでお絵描きする時には、ほぼこのセットを中心に塗っています。
 ここまで読んで下さりありがとうございました。引用・参照にしたサイトは以下の通りです。
  https://copic.jp/product/sketch
  https://copic.jp/product/ciao
 興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

アナログ絵描きによるコピック紹介(前)

 皆さん、初めまして。インターン生の藤田侑花です。
 私は主に、絵を描くときに用いるカラーペンを取り上げていきます。第一回となる今回は、コピックを紹介します。

 コピックは、Too社から出されているアルコールマーカーです。コピックにはペン先が二種類あり、一つは太くて硬いマーカーのようなもの、もう一つは筆のようになっています。またコピックにはいくつか種類があり、「コピックスケッチ」と「コピックチャオ」が特に有名です。この二種類の違いは、スケッチと比べてチャオの方は持ち手が丸く、値段が安く、インクの量がやや少ないなどがあります。
 そしてコピックの大きな特徴は、「色の数が多い」ことが挙げられます。このため、他のカラーペンにはない、淡くて薄い色や、逆にハッキリとした濃い色がたくさんあります。また、0番と表記されている、カラーレスブレンダーというものがあります。これは絵の具の水にあたるもので、コピックのインクを薄めたり、滲ませて水彩画のような感じに表現することができます。そしてこの0番を応用することで、はみだしてしまった箇所などのコピックのインクを消すことも可能です。(ただし、インクが滲みにくい紙では、インクが消えにくいことがあります。)

 しかし、最初は逆に「数が多すぎてどの色を買えばよいのか分からない…。」と困惑してしまうかもしれません。そのような方には、コピックセットがおススメです。このセットについては、次回で詳しく取り上げます。

コピックの公式サイトです。
https://copic.jp

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

油絵のひみつ「パレットナイフを使う」

こんにちは。インターン生の武井です。今回が最後のお話となります。

油絵の制作をする上で便利な道具がパレットナイフ、もしくはペインティングナイフです。
主に金属製で、折れ曲がった先端に三角型の薄い板がついています。バターナイフに似ているというとわかりやすいでしょうか。
使い易いのは折れ曲がったものが基本ですが、直線のナイフ状のものや幅広いヘラ状のものもあります。

これをパレットの上での混色や、画面への絵の具の盛りつけなどに使います。

チューブから出した油絵の具は延びが悪く、筆を使って混ぜようとするとうまくいきません。
筆が絵の具まみれになってしまうと洗うのが大変です。また、乾性油をつけた筆でなら流動性は出ますが、毎回油を使っていては油が多くなりすぎますし、筆に油が溜まってしまうのでよくありません。
制作中の色の調整のために筆先で混ぜる程度なら問題ありません。ナイフが役に立つのは描き始める前の調色です。
特に、ひとつの色を大量に作るときには欠かせません。
パレットに出したチューブ絵の具を、ナイフで切るように量を分けて、押し広げるように混ぜます。
出した状態が硬いチューブ絵の具は、ナイフで練っておくと粘りが出て、ずいぶん使い易くなります。
新たに色を作るときは、ナイフから前の色を取り去っておきます。布や紙で拭き取るだけでキレイにすることができます。

混色に使うだけでも便利ですが、制作にもおおいに役立ちます。

厚い地塗りを平らで均一に施したいときに使えます。
平滑に乾燥した絵の具の表面には、独特な描き味があります。また、非常に硬い塗料を地塗りするときはナイフやヘラが欠かせません。

制作中、構図を大幅になおしたくなったときや、上塗りを失敗してしまったときには、ナイフで削り取ってしまいます。
キャンバスは丈夫に出来ているのでガリガリと削っても大丈夫です。絵の具の乾燥面も堅牢なので、上塗りが乾かないうちなら、力の入れすぎに注意して、綺麗にすくいとってしまうことができます。

ナイフに取った絵の具を盛りつけると、盛り上がった絵の具の表面によく光が反射して、絵の部分を強調することができます。
ナイフの面でベタベタと叩くように絵の具をつけたり、エッジを勢いよく走らせたりすると、筆では作れない大胆な調子をつけられます。
筆を使わずに、ナイフだけで制作することも可能です。私もかつてはナイフだけの制作をしていました。
筆で描くよりも圧倒的に多くの量の絵の具が画面に乗りますので、レリーフのような、もしくは木を荒く削ったような、立体的な迫力のある絵が生まれます。

パレットナイフも、大は小を兼ねるので、大きめのものがひとつあればよくつかえますが、私はむしろ一番小さいサイズのものを多用しています。
あまり制作にナイフをつかわないようになると、パレットでちょこちょこと混ぜるにはどうしても小さい方が便利ですし、手入れも楽です。

自分の絵の具の扱いに合ったサイズのものが、1本あるだけで制作がずいぶんスムーズになるので、ぜひお使いになってください。

以上、パレットナイフについてのお話でした。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

油絵のひみつ「乾かないうちに描く」

こんにちは。インターン生の武井です。今回は、油絵の特徴である、「乾くのが遅い」ことについてお話しします。

「乾くのが遅い」というのは欠点であるように聞こえます。アクリル絵の具の、すぐに乾いてサクサク描ける性質がお好きな方は多くいらっしゃると思います。
絵の具が乾かないと、それ以上描き進められないような気がします。絵の具が混ざって汚くなってしまうからですね。

しかし、油絵の具は水ではなく油に溶くものです。油には粘りがありますから、未乾燥の上から別の色を重ねると、確かに混ざりますが、水のように滲むことはありません。
この滲まずに混ざる性質が、制作では良い具合に働きます。

前回お話ししました、乾かない内に、硬い筆で絵の具が油の中に入り込むように描く、というのは油の性質の賜物です。
すぐに乾いてしまう絵の具では、一度色を載せたら手出しが出来ません。乾燥しても水溶性のものなら水を使って変化させられますが、描いてある図を滲ませることになります。
比べますと、油絵では乾かないうちなら、色や形の微細なコントロールが効きます。
筆先を使って絵の具の「フチ」を削ったり、逆に伸ばしたりして調整が出来ます。
また、少しづつ色を加えれば、形象を滲ませずに段階的に変化させることもできます。

画面上に乗せた色を直接混ぜることもできますが、絵の具が厚くなってきてしまい、だんだんと手を加えづらくなってきます。
油絵の具は粘りがあるので、布やナイフを使えば、乗せた絵の具をそのまま取り去って描きなおすこともできます。

油絵の混色には3つの方法があります。
ひとつ目は絵の具を混ぜる方法です。まず混色といえばこのことですね。パレットの上で混ぜるのは他の絵の具と変わりませんが、前述の通り、乾かないうちなら画面に乗せた絵の具でも同じように混ぜることができます。
ふたつ目は透明色を重ねる方法です。これも、乾燥面に耐水性のある絵の具なら可能なことですが、油絵の具では、「透明層も乾かないうちなら手を加えられる」ことが大きく違います。
                 下絵を崩すことなく、透明色を混ぜ合わせたり、筆で削ったり、布で拭き取ってしまうこともできます。一度乾燥した油絵の具は強い膜となるので、少しのことでは絵が崩れません。
みっつ目は油の中に色を入りこませる方法です。これは油絵特有の方法です。乾いていない油の層を、削らないように、筆先を使うようにしてスッと線を引いてみます。すると、塗れた油の層の中に絵の具が引き込まれて線が沈みます。
                      水の中に糸を落として累積させていく感じでしょうか。同じように繰り返すことで、集合した線が網となり、色の諧調を変化させます。

一般的に「ボカす」とは、非常に柔らかいブラシで色の境界を曖昧にして描くことだと思います。油絵では、既に描いた画面でも、乾かないうちに柔らかい筆を使って同様のことができます。
加えて、「みっつ目の方法」でもボカすことができます。少し幅のある筆の先で、一度に何本も線を引くようにして、様々な方向に重ねていくと、編み目上にボカした境界をつくることが出来ます。

油絵の具には使い方の選択肢がいろいろとあります。絵の具や油を、試しに使いすぎたり、使わなすぎたりしてみると、その特性に早く慣れることが出来ると思います。
自分にとっての使い易さを見つけると、油絵の本当の楽しさが始まるので、扱いづらさを感じても、性質の一面を嫌わずに、いろいろと試してみてください。

今回は、油絵の乾かない性質のついてのお話でした。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

油絵のひみつ「透明に絵の具を使う」

こんにちは。インターン生の武井です。前回は、モチーフの色をつける前に、一つの色調で形や明暗をはっきりと設定する工程についてお話ししました。
今回は、その絵の具層に色をつける工程についてお話しします。

既に設定されている明暗を使いますので、その情報を利用するために、透明な色使いをします。
油絵の具には透明なものと不透明なものとがありますが、ふだん使うほとんどの絵の具は不透明に出来ており、透明色は色づけにつかうことが多いです。

不透明色は下に描かれているものを隠す力が強く、主な描画に使われます。新たに形を描きだすときには隠蔽力の強い色は便利です。
透明色は、下に描かれた絵の明暗関係に従います。効果は透明なフィルムを透かして見るときと同じです。透明色を重ねて、既に描かれているよりも明るくすることは出来ません。

ほとんどの透明色は、チューブから出すと、ラベルの色見本と比べて非常に暗く沈んで見えると思います。これは光が分厚い色の中を通るので、絵の具の中から出るころには明るさが失われてしまうからです。
紫、青、緑の、寒色の透明色は特に暗く見えますが、白い表面の上に薄く重ねると、とても明るい色を出すことが出来ます。
複数の透明色を混ぜると彩度が失われた暗い色になりますので、絵に陰をつけるには便利です。

ほどほどに透明な性質を持つ不透明色もあります。メーカーによっては、より不透明に近い半不透明色が設定されていることもあります。

絵の具についてのお話でご紹介したものの中では、ウルトラマリンブルー、キナクリドンローズ、ビリジャンが透明色です。
バーントシェンナとバーントアンバーは、メーカーによって不透明から半透明になりますが、透明性のあるものが扱いやすいです。

特に持っておきたい透明色は、オキサイドレッドとオキサイドイエローです。名前の通り酸化鉄が原料の、透明な茶色と黄色です。
正確にはトランスペアレントオキサイドとした方が正しいです。
これらを透明なバーントシェンナとイエローオーカーとして扱うメーカーもあります。顔料を確認してください。

ウルトラマリンと合わせると、例の3色の透明版となります。同じように使い勝手がいいのでおすすめします。

さて、無彩色層への着色ですが、これらの透明色を使わなければ出来ないわけではなく、不透明色も使えます。
透明、不透明というのは絵の具の性質であり、油を多めに使えば不透明色もある程度透明に使うことが出来ます。
また、透明色を重ねれば終わり、という風に単純なものではなく、色の層を透かす分、明度が失われるので、不透明な絵の具を使って「色の層」として作り直すことになります。
主には、白い絵の具を使って明度の調整をします。
前回お話ししました、暗色で暗くした表面に白色を使って、光が浮き出すように描くということがここでも使われるわけです。
この場合は豚毛の筆が使いやすいです。硬い毛先につけた絵の具で、乾いていない色の表面にスッと立てた筆を運ぶと、透明色の中に不透明色の線を入りこませることが出来ます。
鉛筆を重ねるように、べったり絵の具を引くのではなく、サッサッと筆を加えると上手くいきます。

透明に色を重ねることをグレーズ、グレージングといい、透明なメディウム、つまり絵の具を溶くものを使う技法と説明されます。
そのメディウムには樹脂ワニスの使用が推奨されます。主にダマー(ダンマル)とマスチックがあります。
ワニスとはニスのことで、ワックスと同じようなものです。透明で、乾くと硬く固まってツヤが出ます。
単体では完成作品の表面の保護に、グレーズには乾性油と揮発性油と混ぜて使われます。
透明色と合わせると、絵の表面に色のついたガラス層を作ることができるため、グレーズにとても向いています。
また、普段の画用液に混ぜて使うことで、絵の具の表面が硬化するようになり、早く重ね塗りが出来るようになります。

グレージングメディウムは、乾性油1に対してワニスを1、揮発性油を2で作るのが基本です。
この量を好みで調整して使います。

しかし、早く乾いて層を作ってしまうので、色をじっくりと試したいときには勝手が悪いときもあります。
そのような時はワニスを使う必要はありません。乾性油を主体に、乾かないうちに、不透明色の浮き出し効果も使いながら色を練り上げていきましょう。

揮発性油だけ使っては、描かれた絵を溶かして混ざってしまうのでいけませんが、混ざるような効果を表現したいときには使えます。

一つの色で無彩色層を作るときと同じで、厳密な技法にとらわれることはありません。
描きやすいようにアレンジして、自分なりの制作法を探してみてください。

今回は透明に色を使うお話でした。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

油絵のひみつ「無彩色で光を描く」

こんにちは。インターン生の武井です。前回は色を使って油絵を描く工程のお話をしました。
今回は、一つの色から描き始めて、形と光を作る制作についてお話します。

モチーフの形と色を同時に進めていく方法に対して、初めに一つの色で形や光を描写してから、透明な色をつかって着彩していく方法があります。
前回、モチーフの色をつける前に、バーントアンバーでおおまかに下絵を取る工程がありましたが、その時点で入念に細部まで描きこみ、一旦完成させる画法だと思ってください。
形と色の工程を分けるので、形を正確にとりたい方や、色は色でじっくりと作り上げたい方におすすめします。

白と黒を使ってグレーの色調で描く場合をグリザイユといい、バーントアンバーなど茶色の色調で描く場合をカマイユといいます。
茶色系の色調で下絵を描くと、上に重ねた色彩に深い奥行や、暖かみを与えることができるので、人物から静物、風景まで使えて万能です。
完全に混じり気ないの白と黒のみで無彩色の下層を作る場合は、「黒」に注意が必要です。
絵の中に、全く真っ暗な黒い陰の部分を作ってしまうと、上から描くときにその部分が扱いづらくなります。全く彩度も明度もない黒色は、光を吸収するので、透明色を塗り重ねたときにキレイに色が出ません。

色調を似ている色の範囲に統一すればの型にとらわれる必要はなく、彩度の低い、後で邪魔にならない色なら、何色を使っても構いません。使い易い色を使うとよいでしょう。おそらく、その色が「あなた風」の色として、着彩に移ったときに効果が出てくると思います。
私は主に、バーントシェンナとウルトラマリンブルーを混色してできる、黒い茶色から紫までの暗色を使います。
透明性のある暗色は、塗り重ねて明度を調整したり、乾かない内にその透明な層に白で描き加えて、微妙な白の諧調を作ったりできるので便利です。

無彩色で描く場合も、使う色を白と混ぜた諧調を二、三段階作っておくと明度の組み立てがしやすくなります。
しかし、基本的な使い方は、段階的に作った色のベタ置きではなく、暗色を薄く塗った上から白色を使って光の部分を浮き出させていきます。
鉛筆や透明水彩で描く場合は、陰の部分を加えていくことで光も明るくなっていきますが、それとは逆に、光の部分を加えることで、明部はより明るく、陰は深くしていきます。

陰になり、周り込む部分を描き加えていく意識を「ネガ」の意識とすれば、明るく、こちらに迫り出してくる部分を描き加える意識は「ポジ」の意識です。
「ポジ」の意識で描くと、モチーフが浮かび上がるような立体感を出すことが出来ます。また、光の満ちた領域に影を差し込んでいくよりも、闇の中に光を当てていく方が状況に矛盾を感じづらいです。
光は当てたところだけ、また、追加すればするだけ明るくすることが出来ますから、控えめに描かれた場合も、または真っ白な場合も、「そのように操作された光が当てられている」と自然な認識をしやすいものです。
しかし、陰は光によって決まるものなので、影を加えるときは、支配的な要素である光の存在を頭に置きつつ、作業しなければなりません。影を加える、ということは、影が発生したわけではなく、相対的に周囲が明るくなった状況にすることです。闇から光を浮き出す場合、手を加えていない場所は光が当たっていない、ということですが、光に陰を置く場合、たちまち、そこにはその陰を作り出す厳格な光の法則があることになりますから、画面に加えるあらゆるものをその法則に従わせる手腕が必要になります。モチーフが近い場合は、自然な状況を作るために、別のモチーフの形状に沿って落ちる影のことまで考えなくてはいけません。

光を描くのは、陰の部分は描かなくてよい、楽な方法であるように説明してしまいましたが、気を付けなくてはいけないポイントがあります。
闇の中に強い光が当たったとき、モチーフの明部は光で飛び、陰は闇に消えます。ただしその分、光と陰の境目の描写に全力を尽くさなければなりません。
そのモチーフがどのような性質であるかが、明暗の境界だけで決まります。ここをしっかり描かないと、白飛びと暗闇だけの、簡単な絵に見えかねないので気を付けてください。

光を描く制作は、より自然な、しかもドラマチックな雰囲気を、より少ない手数で作りだすことが出来るので、大変都合がよく、描く人にも見る人にも好まれるように思います。
絵に今一つ迫力が足りないと感じる方は、ハイコントラストにしようと陰影を強調するよりも、暗い画面からの光の浮き出しを試してみてください。
先にドラマチックな光を作り出しておき、後から色による雰囲気作りをしてみましょう。
完成までのアプローチを変えることで、生まれるアイデアもあると思います。

以上、今回は、無彩色で光を描く制作についてのお話しでした。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

油絵のひみつ「色を使いましょう」

こんにちは。インターン生の武井です。前回より続けて油絵の制作についてお話しします。

バーントアンバーなどの濃い色で全体の明暗の関係ができましたら、モチーフの色をつけていきます。
絵の具についてのお話で紹介しました基本の3色、バーントシェンナ、イエローオーカー、ウルトラマリンブルーを使ってみます。
まずは、バーントシェンナとウルトラマリンを混ぜて、最も暗い色をつくっておきます。
下絵の色と関係がよくなるように、バーントシェンナの赤みが見えるくらいの比率で混ぜるとよいでしょう。
透明度と色みを持った暗色は、他の色を暗く調色する場合の色の鈍りを防げますし、乾性油を使って薄く透明に塗り重ね、描いてある部分の色味を調整することもできます。

色の多いモチーフを用意してある場合は、上記の3色では明らかに色みが足りないように見えると思います。
しかし、モチーフの色を再現しようとがんばるよりも、全体の雰囲気の中に、モチーフが持つ色の関係を整理するようにした方が、一枚の絵としての感じがよくなります。
使う絵の具でモチーフの色を「再現する」ではなく、「再構成する」ことに慣れましょう。
いかに本物そっくりに描いてある絵でも、使われている絵の具をモチーフに塗ってみると確実に色が異なります。
絵の具の色をどんなに多く用意したとしても、自分の目と絵の具で色を捉えなおすことは必要になりますし、最初は使う色の範囲が狭い方がコントロールがしやすいのです。

それでは、バーントシェンナ、イエローオーカー、ウルトラマリンの三色を使って、パレットの上にモチーフの色を作ってみます。
金属製のパレットナイフを使います。まずは目に見える赤や青などのモチーフの色を3色の混色で作り、その「色」の感じを維持しつつ、明るいバージョンと暗いバージョンを作ります。
例えば赤ならば、用意した色で最も赤いのはバーントシェンナですから、これが基本になります。
これを明るくしますが、単純に白だけを加えると、グレー寄りになってしまうと思います。黄色と青色も混ぜつつ、モチーフの色と、その色が明るくなっていく関係を保つようにします。
また、黄色を暗くする場合ならば、黒だけを加えると緑寄りに変化したように見えてしまうと思います。
場合に寄りますが、多くは、少しの赤みを足すことで、黄みを保ったまま暗くなったような色を作ることができます。

用意ができたら色をのせていきます。作った明るい色を、明るい部分につけ、暗い色を暗い部分につけていきます。
徐々に、作った色をそのままではなく、筆で混ぜつつ使うことになりますが、部分を描くときに毎回、その明暗に対応する色を筆で混ぜながら描くよりも、効率的です。

明るい部分に色がついたら、暗い部分の色を、作ってある色で置き換えていきます。
影の中の色みは、そのものが持つ色の印象に大きく関わります。単に黒で暗くするよりも、混色で作った暗色を使うほうが、色みを維持できるのです。
注意が必要なのは、影の中の色は周囲にある色に影響されやすいと言うことです。
よく観察して、微細な影の中の色味の変化を作るとリアルに見えますが、目には見えずとも、周りに置いてあるモチーフの色を混ぜて快調を作ると、同じ空気の中に配置されているような雰囲気が出ます。
少ない数の絵の具を使うと雰囲気を作りやすいのは、混色の段階でこうした関係が自然と作られるからです。

全体に色がついたら、それぞれのモチーフの色のバランスを見て、自分が気持ちいいと感じる雰囲気に仕上げていってください。
自分がモチーフから受けた感覚の経験を、絵の具という物質を使ってキャンバスに記憶する、ということが、手を使ってものに絵を描くおもしろさだと思います。

以上、色を使ってモチーフを描くことのお話でした。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

油絵のひみつ「油絵を描いてみましょう」

こんにちは。インターンの武井です。
前回までは、油絵を描くのに必要な道具についてお話ししました。
今回からは制作についてのお話です。

まずは、物を見てそれを描くのが練習にはいいと思います。身の回りにあるものでいいので、見えるように置いて描きます。
乾性油はリンシード、揮発性油はテレピンを使うとします。
油絵の制作手順に決まりはありません。大まかには、初めに一つの色だけで描いてから、後で物の色をつける方法と、初めから色をつかう方法があります。
今回はわかりやすく、色をつかいながら描くものとします。

描き始める前に、真っ白なキャンバスに薄く色をつけておくことをおすすめします。
キャンバスには編み目がありますから、色をつけていない部分が露出すると、そこは「白」ではなく、「キャンバス」のように見えてしまいます。
あらかじめ色をつけておくことで塗り残しをなくせますし、色をのせたとき、下からところどころ見える下塗りの色が全体の雰囲気をまとめる効果もあります。
テレピンで薄く溶いた絵の具で、ムラを気にせず画面全体に色をつけます。

画面が乾いたら、ざっくりと全体の形や位置を描きます。さきほどのようにテレピンで薄く溶いた絵の具が使いやすいです。
画面全体のバランスを考えて、描く物(モチーフといいます)をどのように配置するか、構図をだいたい決めていきます。
ここで細かく描写をする必要はありません。テレピンは絵の具を溶かしますから、テレピンだけでは細かく描きこむことができません。
その分、消しゴムのように描かれたものを消していくことができますから、だいたいの構図を試行錯誤するには向いています。

初めから構図を決めて描けるならこの工程は飛ばして構いません。
また、下塗りを行う前に鉛筆などで入念に構図をとっておくこともできます。その場合は、下塗りはテレピンのみでなく、リンシードをテレピンで溶いたもので行ってください。
テレピンのみですと下絵が溶けて見えなくなってしまいます。

だいたいの位置が取れたなら、リンシードをテレピンで薄めつつ、バーントアンバーなどの濃い色で全体に色をのせつつ、形を描いていきます。
明るい部分と暗い部分が分かるように描くとよいでしょう。輪郭線に拘りすぎず、遠くから見て明暗がわかりやすいようにすると後で
進めやすくなります。画面の中でどこが明るくどこが暗いか、雰囲気が決まってきます。
下塗りと同じく、色を使うことで後から深みが出てきます。
下塗りを兼ねて最初にこの作業をしてしまってもいいです。決まった手順はありません。

画面が半乾き、もしくは乾燥したら、色を使っていきます。
もちろん色から初めても構いません。色をのせる段階は次回にお話しします。

下絵の色は茶色でなくても、イエローオーカーとウルトラマリンで緑色を作って使っても描きやすいです。
あまり鮮やかな色でなければなんでも構いません。モチーフからなんとなく受ける印象や雰囲気でいいと思いますし、自然な感性に従って描く方が楽しい制作になるでしょう。

ご紹介する工程のなかで、ここが楽しいと感じる部分があれば、それだけを突き詰めてみてもいいと思います。
ぜひ、楽しいと感じる制作をしてください。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

油絵のひみつ「支持体について」

こんにちは。インターン生の武井です 今回は油絵の支持体についてのお話です。

前回まで、油絵を描くために必要な「油」と「油絵の具」についてご説明しました。しかし、これではまだ、制作するには足りません。絵を描くには、支持体、つまり用紙の類が必要です。

油絵の支持体といえばキャンバスですね。布を木の枠に張ったものです。キャンバスといえば油絵、とも言えるでしょう。
画材店ではノートサイズから大窓サイズまで様々な大きさのものが売られています。布と木枠は別々でも売られているので、木枠を自作したり、自前の布を張ったりすることもできます。
布には主に麻布が使われます。縦横についた織り目が特徴的で、乾性油によく耐えます。絵の具の乗りが薄い部分には織り目が透けて見え、これが油絵風の味にもなっています。
問題は少々値が張ることです。張り済みのキャンバスでは、大きな画用紙程のサイズでは千円程度はかかります。

ピンと張ったキャンバスは太鼓のように弾みます。この、画面の弾力や、布地の織り目を気にする人もいるでしょう。
油絵は板地に描くこともできます。木材の平らで硬質な描き味は一度試してみるとよいと思います。地塗り塗料で下地を作ると描きやすくなります。地塗りの表面を研磨紙でよく磨くと、非常に平滑な面を作ることが出来ます。
木板は、木枠に布張りのキャンバスと比べると当然重量がありますので、あまり大きなサイズの制作には不向きです。

習作にはダンボール紙も使えます。そこそこ頑丈で吸収性があり、ダンボール特有の縞状の目が案外楽しいものです。
大きなサイズでも軽く、形状を保ってくれるのは魅力です。

紙に描くことももちろん可能です。しかし、油との相性がよろしくありません。紙に油が浸み込む様子は容易に想像できますね。
油の量を少なくするとガザガザとして描き味が悪いですし、油が多くても吸われる量が多く、延びがよくありません。
紙に描く場合におすすめするのはオイルバーという画材です。
これは油絵の具を棒状に固めたもので、かなり柔らかい描き味です。
当然油分も含みますが、あまり問題なく、クレヨンのように描くことができます。
オイルバーは乾燥すると表面が膜状に固まります。描画した部分も時間を置くと乾燥して膜を作るので、紙にオイルバーで下絵を作ると、乾燥した表面で油絵の具が使いやすくなります。

支持体とは異なりますが、立体物の塗装にも油絵は使えます。
その際は、油絵の具が食いつきやすいように表面を仕上げておくといいです。
油が浸み込む余地があれば油絵の具は定着しやすいので、表面を研磨して細かなキメを作っておくか、ツヤ消しのスプレーを吹くなどしておくと、よく絵の具と手を結び、乾燥後も塗装部分が保たれます。

最後に、キャンバス上に硬質な描き味を求める方に、非常に簡単な地塗りをお教えします。
焼きセッコウを使います。安いもので構いません。これを油絵の具に混ぜて塗るだけです。
絵の具の色はなんでも使えますが、チタニウムホワイトが丈夫です。そのままでもいいですが、少し色を足してグレーめにすると後で描きやすいと思います。
色付きの画面が好きな方はその色を使ってください。絵の具とセッコウはだいたい1:1です。セッコウの方が少し多いくらいでも問題ありません。絵の具の節約にもなります。
そのままですと少し混ぜ辛いので、先に、画材店で売っている速乾メディウムをセッコウに混ぜて練っておくと、絵の具と混ぜやすくなりますし、あっという間に乾燥します。
絵の具と混ぜる前にセッコウのダマを潰しておく意味もあります。

パレットナイフを使って、メディウムと混ぜたセッコウと油絵の具をよく練り混ぜます。塗るときもこのナイフを使って平らに塗っていきます。
完全に平らにするのは難しいので、起伏ができても気にせずに塗ってしまいましょう。全体に塗れたら、気になる部分ををナイフでならしていきます。
このときも、ほどほどで大丈夫です。ナイフの跡が、後で薄く絵の具を乗せたときに浮かびあがり、全体にパターンが生まれます。
この起伏が、上に一様に色を塗った場合も、平坦な印象を打ち消し、多様な感じを生み出します。また、研磨紙を使えば平滑にすることもできます。
この地塗りをすると、キャンバスの布目は消えてしまいますが、変わりに、表面にセッコウの粒子状の模様が生まれます。
相当硬い塗料になるので、厚く盛ることも、粗めに混ぜてデコボコの表面を作ることもできます。地面のような効果も簡単に作リ出せます。
絵の要素に合う使い方をしてみてください。
注意点ですが、筆や刷毛の使用はおすすめしません。本当にあっという間に硬質化しますので、筆がダメになってしまいます。

何に描くか、どんな表面に描くかで、描き味はずいぶんと変わります。
したい表現に合った支持体を選ぶことが理想ですが、「試しに、これに描いてみよう。」と、遊んでみてもいいと思います。
その支持体の性質が画面に及ぼす効果から、表現のヒントが得られるかもしれませんよ。

以上、油絵に使う支持体についてのお話でした。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

油絵のひみつ「どの絵の具を使えばいい?」

こんにちは。インターン生の武井です。前回は油絵で使用する「油」についてのお話をさせていただきました。 今回は絵の具についてのお話です。

油絵を描くためには油が必要ですが、絵の具がなければ始まりません。画材店に買いに行きましょう。 さて、どの色を買えばいいでしょうか。
取り合えず赤から紫までの虹色を揃えて、黒と白があればいいという感じがしますね。絵の具セットはそのように構成されていると思います。
なんだ、迷うことはありませんね。では赤色から買っていきましょう。なになに、カドミウムレッドパープル、カドミウムレッドディープ、ブライトレッド、ピュアレッド、キナクリドン、アリザリン…。
どれにしましょうか…。画材店には、何社もの絵の具が、百色以上もズラリと並んでいるのです。お値段も変わります。
絵の具セットを買ってしまえばよさそうですが、高価な色が揃えられている場合が多いです。良い色であることには違いありませんが、必ずしも扱い易いわけではありませんし、お財布への負担も大きいでしょう。
メーカーには「安い方のセット」も用意されていると思いますが、こちらはおすすめしません。安いのは、安価な混ぜものの色で構成されているからで、使ううちに色の不純さに不満を覚えると思います。

では、どの色を選べばよいのか、具体的に紹介していきましょう。
まずはこの3色、(茶)PBr7  バーントシェンナ     濡れた土のような茶色
        (黄)PY43 イエローオーカー     乾いた地面のような黄色
        (青)PB29 ウルトラマリンブルー   深い海のような青色
これらの色に、 (白)PW6  チタニウムホワイト    があればよいでしょう。

これらは落ち着いた色ではありますが、基本的な3原色である「赤・青・黄」の組み合わせであり、混ぜて使うことで多くの色が生み出せます。
一見、鮮やかさが足りないように見えますが、画面に強力な色が必要でない限りは、この3色を使うことで調和のある雰囲気が絵に生まれるでしょう。

黒を加えてもよいですが、バーントシェンナとウルトラマリンを混ぜることで、透明感のある暗色を作り出せます。画面上で黒として働かせるにはこれで充分で、3色で作られた調和の中では単なる黒よりもよい働きをします。
黒を使うときは、余り白と混ざらないように気を付けてください。色に「黒と白を混ぜたグレー」の成分が含まれると、鈍くなって画面で浮いてしまうことがあります。
灰色を使いたいときは、3色を混ぜて彩度の低い色を作ってみてください。小さい頃、水彩絵の具の色を全部混ぜてみたことはありませんか?泥っぽい黒か灰色が出来たことと思います。
それは汚い色だ、と教えられたかもしれませんが、ある色の組み合わせで出来た世界の中では、純粋なグレーではない、色のついた灰色はむしろキレイに見えるもので、隣合う色を引き立てたり、色の調子を整えたりもしてくれる便利な色です。
私はこの色が大好きで、パレットの色を筆で拾う度にその灰色を混ぜています。私は彼を、色の調子はずれを整えてくれる指揮者のように思っています。

光の3原色は「赤・青・緑」です。上の3色では、青みはウルトラマリンブルーで強く出せますが、赤みと緑みは弱くしか出せません。
赤と緑を加えることで、上の3色で出来た世界を、より鮮やかな雰囲気にすることができます。

上記3色に、(緑)PG18 ビリジャン     深い、青寄りの緑
      (赤)PR254 ピロールレッド   原色より落ち着き気味の赤 を加えてみましょう。  
                                 
青色と黄色の混色では出せなかった、青緑色を使うことが可能になります。ビリジャンはやや高価ですが、これに代わる青緑色は他にないと思います。
合成色との違いがかなり大きいので、スクールセットを使っている方は、まずはビリジャンだけでもホンモノに替えてみてください。鮮やかさの差に驚かれると思います。
ピロールレッドは高い色ではありませんが、発色が良く、混色で肌色寄りにもワイン色寄りにも使えます。
ビリジャンとバーントシェンナを混ぜることで、新たな暗色も作り出せます。「暗い部分の色み」は、写真には無い深みを絵に与えます。パレットに出してある色を混ぜて作った暗色が、元の色を含む絵の中ではよい感じの暗部になると思います。

ほか、おすすめの色には(赤)PR101(102) テラローザやライトレッドもしくはインディアンレッドなどの酸化鉄系の赤色。サビの色と言うとイマイチなイメージですが、落ち着いた黄みの赤色です。
私が落ち着きのある色が好きなので、落ち着いた色ばかり紹介してしまいますが、

(茶)PBr7 バーントアンバー も持っていたい色です。焼いた茶色、という名前で、バーントシェンナより赤暗く、強い茶色です。
透明性があるので、乾いた画面の上に、乾性油を多めにしてこの色を薄く広げると、赤茶色のフィルターがかかって、絵の雰囲気が統一され、影が強まります。古典画のような強さが欲しい絵にはぴったりです。

紫色は総じて高価ですが、(紫)PV19 キナクリドンローズ は手が出しやすい色です。混色に使いやすい赤みの紫色です。
絵の中にビビッドな紫色をそのまま使いたい場合は、どうしても高級な紫色が必要です。混色では作り出せないからです。デザインポスターのような絵か、画題に含まれなければ、そうそう使うことはありませんので、自分のスタイルと相談してください。

高級セットには必ず入っている、いわゆる「良い色」を上げます。
(赤)PR108 カドミウムレッドパープル 深い赤色。
(赤)     バーミリオン 硫化水銀の朱色。”非常に”高価。
(青)PB28  コバルトブルー      キレイな青色。w〇ndowsのテーマカラーのようにかっこいい。
(青)PB35 セルリアンブルー     美しい空色。空をそのまま描きたい人は欲しい。
(黄)PY35  カドミウムイエロー    鮮やかな黄色。少し高いけれどビリジャンのように持っていたい。
(紫) コバルトバイオレット   上記の高級な紫色。支配者のローブのような非常にキレイな色。とても高価。あっても使わないので1本買えば充分。

これらの色は申し分なく良い色ですが、絵の中ではほとんどの場合、単色の美しさよりも全体のバランスの方が見た目に関わります。
「良い色」を絵にそのまま使いたい場合は、同じくらい良い色で雰囲気を作るか、もしくは最高にキレイな色をリーダーに据えて、画面を従わせてください。
「受け入れ体制」を作って上げましょう。
また、カドミウムやコバルト系の色、バーミリオンなど高価な色は大抵有毒です。過敏にならなくても大丈夫ですが、使用後は手を洗いましょう。噴霧はしないように。

黒について。
代表的なものは(黒)PBk7 アイボリーブラック と(黒)PBk1 ピーチブラック です。 
少量を薄く伸ばしてみるとわかりますが、アイボリーは暖かみがあり、ピーチは寒い黒です。好みで選んでください。

白について。
PW6 チタニウムホワイトが主流です。とても強い白色で、下の色をよく隠しますし、塗った後は頑丈です。迷ったらこの白です。
PW4 ジンクホワイトは透明度のある白色です。下の色を隠すのには向きませんが、薄い白を重ねたり、わずかに白を混ぜたりしたいときはその繊細な性質が役に立ちます。
    乾燥後は塗膜の強度が低いと言われますが、ベタ載せしない限りは問題ないと思います。白を盛りたいときはチタニウムを使うとよいでしょう。
    2色を混ぜてみて、自分の使いやすい強さの白色を作るのも可能です。

では、油絵の具は、まずはどの色を選べばよいか。まとめますと、

確実な三色  (茶)PBr7   バーントシェンナ     
       (黄)PY43  イエローオーカー     
       (青)PB29  ウルトラマリンブルー
+色を補強   (緑)PG18  ビリジャン        
(赤)PR254 ピロールレッド
       (黄)PY35  カドミウムイエロー
あると便利な (茶)PBr7  バーントアンバー
(紫)PV19  キナクリドンローズ
白が必要   (白)PW6  チタニウムホワイト
黒も欲しい  (黒)PBk7  アイボリーブラック

ちょうど10色程度ですね。上記ですと赤・青・緑・黄2・茶2・紫・白・黒 となります。ビリジャンとカドミウムイエローは値段が高めですが、よく使う絵の具です。それ以外は、キナクリドンを除いておそらく全てのメーカーで1、2番目に安いランクの色ですので、お財布にも優しいと思います。
キナクリドンは少し高い部類です。

まずはこれらの色で描いてみてください。際立った色が無いので、バランスは取りやすいはずです。高彩度の色が必要になったら買い足してください。
ちなみに、「赤・青・黄」の3色では多くの色が作り出せますが、最も多くの色を作り出せる3色の絵の具の組み合わせは、おそらく、フタロシアン・キナクリドンマゼンタ・カドミウムイエロー の3色に白と黒を加えたものだと思います。これらは印刷のインクに使われるCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)カラーに対応しており、最も高彩度の絵の具だと思います。しかし、よく使う赤、青、緑を混ぜて作らなければなりません。色を直観的に使えないのは難しそうです。試したことはありません。

最後に、絵の具の名前の頭につけておりました、PB29 などの番号についてご説明します。
これは、その絵の具がどんな色(成分)でできているか、を示しています。Pはピグメント(顔料)の意味、BやYなどはブルーやイエローなど色の区分です。その色の顔料の種類に番号を振って区別しています。
多くのメーカーが絵の具のラベルにこの番号を記載しているので、異なるメーカーの同名色を見分ける助けになります。メーカーによって同番号でも色の違いはありますが、混合色についてはおよその予測ができます。
何色と何色でできた混合色かがわかれば、手持ちにそれらの色がある場合は購入しなくてもよいかもしれません。ただし、メーカーによって最善の比率で混ぜられているでしょうから、その色が頻繁に必要な場合は混合色を信頼するといいでしょう。
例えば、「カドミウムグリーン」という絵の具にはPY35,PG18と記載されています。これはカドミウム黄とビリジャンで作られていることを示します。
「ジョンブリアン」という肌色の絵の具はPW4ジンクホワイト、PY35カドミウムイエロー、PR108カドミウムレッドの混合色です。
メーカーによって違いの大きい「バンダイクブラウン」は、PR101酸化鉄の赤色であったり、PBr7+PBk7と、茶色と黒を合わせたものであったりします。

実際に多くのメーカーの色を買って試すことができれば手っ取り早いですが、購入に迷ったときは顔料の表示を参考にしてみてください。

これまでにおすすめしました色は、ポスターのように鮮烈な色が欲しい方には物足りないと思いますが、コントロールのしやすい組み合わせです。
また、全体的に低彩度ですので、足りないと感じた色を足すときには、その色が際立つようになっています。
油絵の具は安くはありませんので、不足を感じたら徐々に足していくのがよいと思います。
また、チューブから出したままの色を画面に乗せることは、ほぼありません。赤なら赤い絵の具、緑なら緑の絵の具、という考えは一旦置いてください。
そして、ある絵の具を混ぜ合わせた色の範囲の中で、赤や緑といった色を「感じる」画面作りをしてみてください。そのときはきっと、全体の雰囲気の調和が出来ているはずです。

以上、油絵の具の選び方についてのお話でした。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。