防大を去っていく者達

こんにちは。
最終回となる今回は、防衛大を去っていく学生についてお話ししたいと思います。

防衛大はその特殊な環境やカリキュラム故に、途中で退校する学生も珍しくありません。しかしポツリポツリと抜けていくのではなく、ある程度「学生が辞めやすい時期」というものが存在しており、その時期に纏まって抜けることが多いです。

まずは4/1の着校から4/5の入校式までの五日間。防大に入ってきた学生はまず4/1に学生舎に入り、4/5の入校式まで「お試し期間」の様なものを設けられます。この期間で辞めれば手続きがまだ簡単なので、ここで実際の防大の様子を見て入校を取りやめる人は多いです。

その期間を抜けても、5月くらいまでは退校者がちらほら出ていました。このくらいの時期に辞めれば、もし一般大に入りなおすにしても一浪で済むというのも大きいでしょう。

次の退校ポイントはやはり二年次に上がる時です。防大生は二年次になって初めて学科に所属することになり、また陸海空の要員に配属されることになるのでここで希望が通らずに辞めていく人は当然出ます。筆者も要員志望が通らず第三志望の陸に配属になったのが退校の最大の原因でした。泳ぐことが得意で走ることが大の苦手な私は海上、航空、陸上の順で志望を出していましたが、私の周りの女子は殆ど海上・航空志望だったため私はあぶれてしまいました。そもそも、陸海空の人員は人数比が2:1:1になるようにしなければならないので、全員が海上か航空を志望していたら半分は希望が通らないようになってしまうのです。
私は足の遅さや体力のなさで部隊のお荷物になり続けることが嫌だったので、このタイミングで退校して、ずっとやりたかった神話の研究ができる一般大学に入り直しました。

厳しい一学年時代を抜けても退校者はまだ出続けます。意外にも、三学年で辞める人も一定数いるようです。三学年になると訓練で部隊に行って実際の仕事の様子を見に行ったりするので、そこで嫌になって辞める人も多いそうです。

また、なんといっても多いのは卒業後の任官拒否、すなわち防大を卒業した上で自衛官にならない道を選ぶ人達です。こうすると三学年退校とは違い大卒資格を持った状態で社会に出られるので、とりあえず4年間は我慢してこのタイミングで抜けようという人は非常に多いです。それとは別に、急遽実家を継がなければいけなくなって辞める人なども居ました。どちらにせよ、折角4年間予算を費やして育成した人材が辞めてしまうのは自衛隊にとってかなり痛手でしょうが……。

今回で、10回に渡って続いた防衛大紹介記事も完結となります。この記事が防衛大について興味を持っていただく切っ掛けとなったり、また防衛大に入ろうとしている受験生が防大の様子を知る手助けになってくれれば幸いです。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

女子率10%!意外と多い女子学生事情

こんにちは。

今回は防衛大の女子学生(通称女学)についてお話しします。

防大生の女子比率は10%程度と、その辺の一般大の工学部などよりかなり高い割合となっています。しかしこれは文理合わせた人数の比であり、理系の女子率は40人中1~3人、文系の女子率は40人中10人程度とかなり偏りがありました。ちなみに、一学年の班の中には女子が1人もいない班もありました。

学生舎の片側に女子トイレや女子シャワー室がまとまっており、女子部屋もそれに合わせて学生舎の片側に配置されます。トイレは各階にありますが、洗濯室やシャワー室は2フロアに一個です。ちなみに、同じ学生舎と言っても中身は大隊ごとに違います。私の居た大隊の学生舎は調理室が西と東に一つづつありましたが、隣の大隊に行ったら大きい調理室が1フロアに一つあるだけでした。

女子学生だからといって男子と違うことは特になく、皆平等に同じ訓練を受けます。一つ違うのは許可されている髪の長さの違いで、女子の髪の長さは「ベリーショートでもみあげが耳の半分にかからない程度」と指定されていました。この髪型と、一学年の「外出する際は必ず制服」といったルールのせいで出先で男子に間違えられる女子が非常に多く、私も手相占い師に男子だと思われたまま占われてしまったり、同期が制服のスカートを履いているにも関わらず街中で子供に男と間違われたりと、この手の事案は後を絶ちません。二学年以上になると、髪を伸ばす権利が与えられます。伸ばした場合は後ろでお団子にして、ネットでまとめる必要があります。

これは女子だからということはないのですが、防大は何かと身長順に並ぶことが多く、しかも小学校などと違い身長の高い学生を前に、低い学生を後ろに配置するので女子は前の様子がまったく見えないことも多いです。

また、毎週金曜日には土日分の食料(カップ麺やレンジでできる鶏めし、缶の飲み物など)が配布されるのですが、これは男子学生基準の量が配られているため女子にとっては若干多いです。なので放っておくと食料棚がいっぱいになってしまいます。そういう人は、他の部屋の男子が時たま大袋を持って余剰食料を回収しに来るのでその時に余った分を全部渡してしまいます。win-winの関係ですね。

結論としては、防大は女子が女子だからといって不利益を被ることはありません。ただ、やはり女子は男子と比べて身長も低く筋力もそこまで付かないので、それで苦労することはあります。しかし男女関係なく、同期は助け合えという指導が徹底しているため、見捨てられることはありません。努力できる人物は性別関係なく尊敬されます。これから防大に入ろうとしている女子の皆さんは、安心して防大に入ってきてください。

次回、最後になりますが防大を辞めていく人について書きたいと思います。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

防大生は訓練もします

こんにちは。
今回は防大生の訓練についてお話ししたいと思います。と言っても、あまり詳しく書くと怒られそうなのでざっくりと、主に一学年がする訓練について書いていきたいと思います。

まず普段の時間割の中に組み込まれている訓練ですが、これは座学で自衛官としてのあり方について学んだり、指揮官という職種について学んだりすることが多かったです。あと、一年生から扱うことになる小銃の手入れ方法などを勉強します。銃の部品を無くしたら見つかるまで班全員で捜索することになるので気を付けなければなりません。捜索の様子は目立つため、他の班に「あ、あいつら銃の部品無くしたんだな」と思われて恥をかくことにもなります。
一学年はまだ陸海空に分かれる前なのであまり専門的なことはしません。隊列を動かす指示の練習をしたりといったことから始めます。

そして7月になると、授業はせずに訓練だけをする「夏季定期訓練」が始まります。ここで一学年は最大の試練「8km遠泳」のための訓練をすることになります、これはその名の通り東京湾を4~6時間かけで泳ぐ行事であり、この日のためにおよそ一か月かけて訓練をしていきます。初めは泳げる度合いにって帽子の色が分けられ、泳ぎが苦手な学生は他の学生より早い時期から泳ぐ練習をすることになります。そして泳げる学生と泳げない学生でバディを組み、まずは屋外プールをひたすらぐるぐる泳ぐ練習をします。それに慣れてきたら東京湾を実際に2kmほど泳いでみる練習が始まり、泳ぐ距離をだんだん長くし、最終的には全員が8km泳げるようになっています。
遠泳中はウィダーインゼリーや乾パンが指導官の船から送られてくるので、それを上手く掴んで食べなければいけません。泳げる学生は自分のバディのためにこれを取ってあげて食べさせてあげることもあります。海に落ちてしまった乾パンは海鳥の餌になります。東京湾にはクラゲや海鳥が沢山いて面白いです。個人的には遠泳訓練が一番好きな訓練でした。

遠泳のほかにも、夏季定期訓練では陸海空の部隊を実際に見に行ったり、富士登山をしたりと様々な訓練が行われます。訓練期間中ではないのですが、8月に行われる富士の総合火力演習も一学年全員で見に行きます。これを見に行く関係で一学年は他の学年より夏休みが一日短いです。

それでもやはり、長距離を歩いたり走ったりする訓練はこの期間日常的にやることになります。私はここでかなり班の足を引っ張り、結果的にこれが大きな原因で防衛大を辞めることになったのですが、このあたりは「退校」について説明するときに詳しくお話しします。

以上、防大生一学年の訓練の様子をお伝えしました。
次回は、防大の女子学生についてお話ししたいと思います。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

年に一度のドでかい祭り、開校祭

こんにちは。
今回は防大における文化祭的ポジションのイベント、開校祭についてお話します。

開校祭は毎年11月に二日間にわたって行われるイベントで、この日は一般の方が防大の中に入れる貴重な機会となっています。開校祭では様々な企画が行われ大変賑わうのですが、初めての方だと何から見ていいか、何が見られるのか分からないこともあると思います。そこで、以下開校祭の見どころを順に紹介していきますので興味がある企画を探してみてください。

・屋台
各大隊4つ、そして留学生達が出身国ごとに集まって一つづつ外で屋台を出しています。私の中隊はじゃがバターを出していました。他にも、ケーキセットやアメリカンドッグを出していた所もあります。また、留学生の屋台ではそれぞれの国の料理を作って出しているので変わったメニューが沢山見られます。迷ったらまず屋台を見てみましょう。

・棒倒し
学生にとってはこれがメインイベントです。4つの大隊が全力で棒倒しをするだけなのですが、学生たちはこの日のために何日も前から練習をし、戦略を練り、競技に参加できない女子やタックルが強すぎる部の者たちは他の大隊の戦略を偵察する、本気の戦が繰り広げられます。ここで優勝した大隊には特別外出(外泊)一回が与えられるので皆全力です。

・パレード
吹奏楽部の伴奏の元、ほぼ全学生が参加する圧巻の行進が見られます。一般学生は小銃を、一定以上の役職の学生は軍刀や旗を持って行進します。開校祭のパレードは例年防衛大臣が見に来ることになっているので、生の防衛大臣が見たい方は必見です。

・訓練展示
いわゆる自衛隊の訓練っぽい様子を展示します。実際にどのような命令が下されて隊員が動くのか、どういう動きで銃を構えたりするのか、といったものが見られます。富士山の近くで行われる総合火力演習と違って席の抽選はないので、総合火力演習に落選してしまった人は、少し規模は小さいですがこちらを見に来てはいかがでしょうか。

・各部活動の発表
武道系の部活は型や演舞を、それ以外の部活も例えば應援團リーダー部などは応援の発表をしたりします。こちらは時間が決められているので、見たいものがあったら予めチェックしておきましょう。とても早い時間に発表がある場合もあります。

・その他
一応大学なので、体育館では各学科が自分たちの研究テーマを紹介して展示を設けたりしています。開校祭の日には学生舎の中にも入れるので、防大生が実際に暮らしている部屋を見ることができます。
個人的には、学内のファミリーマートを是非見に行ってほしいです。他のファミリーマートでは見られない防大グッズや訓練物品が置いてあります。勿論訓練物品も買うことができます。

いかがでしたでしょうか。これを読んで少しでも防大の開校祭に来てくれる人が増えたら幸いです。
次回は防大生の訓練についてお話ししたいと思います。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

土日は万金の価値あり!防大生の休日

こんにちは。今回は防大生の貴重な休日の過ごし方についてご紹介します。

防大生は基本的に土日祝日が休みで、休日は外出が認められています。制服のアイロンがけ、身分証の縛着、金属の襟章や帽章の状態などをチェックする「外出点検」というものが朝に実施され、それに合格した学生は外出が許可されます。

学内では制服でいなければならないので、私服外出を認められている2学年以上の学生は学外に下宿を借りてそこで私服に着替えます。防大の最寄り駅(といっても徒歩15分くらいはかかります)の浦賀駅や、バスで行くと近い馬堀海岸駅の周辺は防大生の下宿が多く存在しています。

また、二学年以上は外泊を伴う外出(特別外出)が認められています。学年によって特別外出ができる回数は決められていますが、演劇祭や隊歌コンクール等の競技会で所属大隊が優勝すると、ボーナスとして特別外出可能回数が追加されます。

防大生は休日どこへ行くのか。遊びに行く定番スポットと言ったら横須賀市の中心部である横須賀中央駅付近が多いです。ここには大きな駅ビルもあり、居酒屋もあり、少し足をのばせば米軍横須賀基地にも遊びに行けるので人気のエリアです。少し遠くはありますが横浜駅周辺もよく防大生が出没します。横浜には大きな本屋があったので私はよく行っていました。また、ロクシタンやLUSHなどおしゃれな店もあるので女子学生の誕生日プレゼント探しにもうってつけのスポットです。

更に気力がある学生は東京に出たり、ディズニーランドに行ったりもします。一学年は外泊もできず、また制服で行っていい所と行けないところがあるのでかなり行動は制限されていますが、それでも休日は学外に出られる貴重なチャンスでした。防大生は給料が出る上に衣食住に一切お金がかからないので、財布には結構余裕があります。私は毎週横須賀中央の牛角に行って良いコースの焼き肉をお腹一杯食べていました。

ただ、一学年は日々の生活で疲れているため、外出せずに部屋でずっと寝ていたり学内のコンビニでおやつを買ってゆっくり過ごす学生も多かったです。また土曜日の午前は殆どの部活が活動をしているため二日間丸々休めるわけではありませんでした。

長期休暇には全学生が実家に帰ることができます。夏季休暇は3週間、冬期休暇は1週間、春期休暇は2週間程度と一般大に比べるとだいぶ短いですが、他の公務員と比べると圧倒的に長いです。私の周りの殆どの学生は長期休暇終了ギリギリまで実家で過ごしていました。

以上、今回は防大生の休暇についてお話ししました。

次回は、年に一回の大イベント「開校祭」をご紹介しようと思います。
興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

こんなことで!?防大生怒られ目録

こんにちは。
今回は防大でやってはいけないことについてご説明します。

・官品放置
官品とは国から貸与されている物品、すなわち制服や課業カバン、背嚢や毛布等を指します。これらをどこかに放置してしまうと「官品放置」となり、上級生から呼び出されることになります。よくあるのが「トイレの荷物掛けに帽子を掛けたままトイレを出てしまった」「机の上に帽子を置いたまま席を離れてしまった」などの事案です。
類似のものして「貴重品放置」もあります。財布やスマホ、身分証等を机の上に置いてその場を離れてしまうとアウトです。筆者は入校してすぐに、胸ポケットの中のお守りに入れていた緊急連絡用の十円玉を狩られて呼び出しを受けました。

・身分証紛失
他人に迷惑をかけない範囲では最も重罪です。自衛官の身分証が万が一にも悪用されたら大事になるというのは想像に難くないでしょう。実際、防大生は身分証を見せれば横須賀の米軍基地に入ることができます。学生は身分証を無くさないように身分証ケースをチェーンで服の内側に留めたり、落としてしまってそれが拾われた時用の手紙と封筒を身分証ケースに入れていたり、様々な工夫を凝らしています。

・異性の部屋に入る
男子は女子の、女子は男子の寝室に入ってはいけないというルールがあります。居室なら入ってもOKですが、異性が居室にいる際は居室のドアを完全に閉めてはいけません。常にドアストッパーで少し開けておく必要があります。

・食事、風呂をサボる
時間が無いからと言って、食事を抜いたり風呂に入らなかったりすることは例えたった一回であっても許されません。衛生と健康は何より重要視されます。防大では体調不良の学生はきちんと休むよう徹底されています。

・点呼に遅れる
毎朝晩の点呼に遅れるのは言語道断です。しかし休日の点呼、とりわけ日曜夜の日夕点呼に遅れそうになる上級生は今まで何度も見てきましたし、本当に点呼に遅れて停学や退学になった人も居ました。お酒が飲める年齢になった上級生がやりがちな事案です。

・脱柵
脱柵とは正当な手続きを踏まずに防大から逃げ出すことを指します。学生が敷地内から消えた、という状況になったら自殺、脱柵両方の可能性を見据えて捜索が始まります。脱柵が起きれば全学生で懐中電灯を持って敷地内を捜索することになるのでかなり大騒ぎになります。日本の自衛隊と警察は優秀なので、脱柵した学生は100%どこかで確保されます。

以上、今回は怒られる理由の中でも主要なものをご紹介しましたが、これ以外にも情報共有の不足、報告書の不備など怒られる原因となるものは数え切れないほどあります。

次回は防大生の休日の過ごし方についてお話ししたいと思います。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

ヒエラルキー発生!部活選びにはご用心

こんにちは。
今回は防大における「部活」である校友会についてご紹介します。

防大にはとても多くの運動部が存在します。サッカー、ラグビー、アメフトから相撲、水球、ヨット、フィールドホッケーまで、ウィンタースポーツ以外のあらゆるスポーツを網羅しています。女子に人気なのはバドミントンやフィールドホッケーでしたが、どの校友会にも最低1人は女子が居たと記憶しております。
基本的にどの校友会を選ぶのも自由ですが、多くの校友会が週に5~6回活動しているので自分に合わない校友会を選んでしまったら後々苦労することになります。

誰もかれもが言葉巧みに自分の校友会に新入生を引き入れようとしますが、どの校友会に入るにしてもその場で即決はせず一旦部屋の上級生などに相談しましょう。ブラック企業ならぬブラック校友会も存在するので部外の上級生の意見を聞いてから決めた方が安全です。転部にはかなり手間がかかるため、慎重に行きましょう。

しかし、厳しい校友会に所属している方が箔が付いて一目置かれるというのも事実です。逆に、ぬるい校友会に入っていると下級生から舐められることもあります。
筆者はブラック校友会の一員であった空手道部に所属していました。他の学生や自衛官に自己紹介で空手道部だと名乗ると中々良い反応が帰ってきたのを覚えています。しかし当時の四学年の先輩方が下級生を徒に苦しめる悪習や無駄な伝統を撤廃する風潮を作っていたお陰で、私が在籍していた頃の空手道部は超絶ブラックではなくなっていました。

他にも、ブラック部活として名高い合気道部や少林寺拳法部の部員は一目置かれていました。逆に、突き抜けた狂気的な厳しさを誇っていたブラック部活のツートップ、應援團リーダー部と短艇委員会の部員は尊敬というより畏怖の目で見られていました。

防大には、活動は小規模ですが文化部も存在しています。社交ダンス部の「アカシア会」は特に有名で、アカシア会の学生は卒業式の前に行われる卒業ダンスパーティーで模範演技を披露するなどの活躍の場が設けられています。また、女子だけで構成された「紅太鼓同好会」などもありました。他にも弁論部や国際関係研究部、留学生で組織された「○○文化研究同好会」などがあり、筆者はタイ文化研究同好会に所属して時折タイ人に交じってタイ料理を食べていました。
文化部には、年に一回の文化部合同発表会で活動の成果を発表する機会が与えられます。

以上で、防大の運動部及び文化部についての説明を終わります。
次回は、防大で筆者や同期がどんな事で普段呼び出しを受けたり注意を食らっていたかについてお話ししたいと思います。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

心休まる時間などない!防大生の一日【後編】

こんにちは。
今回は前回に引き続き、防大生の生活をご紹介します。

昼食(一斉喫食)。食堂に全学生分の昼食が用意されているので、上級生が来る前に一学年が急いで配膳します。食器の欠けを確認し、ご飯の良いところを盛り、テーブルにドレッシングを揃え、お茶を用意し、上級生が来て座るまで立って待機します。
このドレッシングは全テーブルに不足無く行きわたる数は用意されていないので、他の一学年との奪い合いが発生します。授業が終わると全員で食堂に駆け込み、必要以上のドレッシングを抱えて自分達のテーブルに確保する者やドレッシングをテーブルの下に隠す者、「このドレッシング嫌いだから変えてこい」と言われてレアなドレッシングを求めて右往左往する者などが見られます。
食事中は愉快な話で向かいに座る上級生を楽しませなければならず、話すネタが少ない学生は苦労します。筆者はダイオウグソクムシの話やホラー映画の話をして厳重注意を受けたことがあります。

午後も授業は続きますが、週に一コマ「訓練」という科目が入ります。逆に言えば、普段この科目の時間以外で自衛隊のような訓練をすることはないのです。それに、訓練とはいっても座学が多いです。防大生は幹部自衛官候補なので、体より頭を使う訓練が多いのは当然とも言えます。

授業が終われば校友会の時間です。校友会については後の記事で詳しく書きますが、いわゆる部活動だと思っていただいて構いません。学生は全員運動部に所属する義務があります。
ちなみに、吹奏楽部は運動部扱いです。

校友会時間が終われば夕飯の時間です。こちらは比較的時間に余裕があるのでしっかり食べることができます。なお、防大の食事はあまり評判が良くありません。筆者は特に味に不満を感じたことは無いのですが……。

その後は自習時間となります。休憩をはさんで2時間ほど、静かに本を読んだり授業の課題をやったりします。文化部は校友会時間に活動できないためこの時間に活動をします。一学年にとっては貴重な自由時間ですが、報告書の作成などをこの時間に進めることも多いためのんびりしてはいられません。

日夕点呼が終了し、22時半。消灯ラッパが鳴ります。この時間以降にまだ勉強している上級生はよく見ますが、一学年は疲れ果てているので大抵ベッドに入って寝るか日中できなかったTwitterやゲームをしたりしています。部屋に誕生日の学生がいると、この時間にこっそり誕生日パーティーをすることもあります(現在は取り締まりが厳しくなってしまったようですが)。

以上が、防大一学年の一般的な一日のサイクルです。
次回は、先程も言及した校友会について詳しく述べていこうかと思います。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

ラッパに始まりラッパに終わる!防大生の一日【午前】

こんにちは。
今回から二回にかけて、防大生の一日についてご紹介します。

朝6時。起床ラッパが鳴り響き一斉に起床します。というのは建前で、多くの学生はそれより前に起きていて心の準備をしています。私は女子部屋だったのですが、女子はコンタクトの学生が多いので皆起床前にこっそり洗面所に行ってコンタクトを付けたりしていました。
ラッパが鳴ったら大急ぎでシーツ、毛布を畳み男子は上裸、女子はTシャツ姿になって部屋を飛び出します。ここまでで大体2、3分です。6:05には学生舎の前に整列して点呼完了していなければならないので転がり落ちるように階段を駆け下りて整列します。

日朝点呼が終わればそのまま朝清掃の時間です。これまたダッシュで階段を駆け上がり、所定の清掃場所に行き清掃を開始します。女子は女子しか入れない女子トイレやシャワー室、洗濯室などの清掃をしていました。人数の多い男子は調理室や階段などの清掃もしていました。清掃場所は一週間交代制で、毎週初めにその場所の前任者の学生から清掃手順の申し送りを受けます。
清掃の手法や手順はその時の清掃長(二学年)によって細かく定められており、そこから逸れてしまうと「不注意」及び「前任者の申し送り不備」などで同期を巻き込んで呼び出しを受ける危険があるので要注意です。

これらの公共場所の清掃が終われば次は部屋清掃です。学生は基本的に8~10人部屋で暮らすことになり、ベッドやクローゼットがある「寝室」と机や食料等を置く「居室」が与えられます。寝室は二段ベッドがぎっしり入っているので狭く感じますが、居室は床で銃整備をしたりする都合上広めになっています。勿論、朝清掃ではどちらの部屋も清掃します。

清掃が終わったら食堂に朝食を食べに行きます。時間が無くてパン1口しか食べられない時もありますが、食事を抜くこと(不喫食)は重罪なのでどんなに忙しくても食堂へは行かなければなりません。上級生になるとパンをトーストで焼く権利が与えられます。

朝食が終われば制服に着替え、授業に行く準備をします。教場に行くのにも整列しなければならないので、日朝点呼の時のように学生舎の前に整列します。

8時。国歌が流れ、国旗が掲揚されます。国旗が見える位置に居る学生は敬礼します。国旗掲揚は当番の一学年2名と二学年1名が行います。国旗掲揚作業中の学生は天皇の使者なので、防衛大臣が来ても首相が来ても敬礼しなくていいと言われていました(普段は来ませんが)。

この後は、各教室に行って普通に授業を受けます。授業は防衛学という科目があることを除けば一般大と同じです。

今回の記事は以上です。次回は防大生の午後の様子についてご紹介します。

興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。

元防大生が語る!防衛大ってどんなとこ?

皆さんは「防衛大学校」という学校をご存知でしょうか。
一言で言えば「自衛隊の指揮官を養成する特別な大学」であり、いわゆる士官学校のポジションにあたる学校です。
筆者は防衛大学校に一年間在籍し、とある事情で退校した身です。この記事では、防大への入学を考えている、あるいは防大がどんな所だか知りたい、という方に向けて、防大での生活の実態をお伝えしていきたいと思います。
なお、本記事に記載の情報は2016年時点のものとなります。防大の細かい規則や日課時限などはその時々の幹事や訓練部長の方針によって変わりますのでご了承ください。より詳しい情報を知りたい方はお近くの地方協力本部にお問い合わせください。

・基本情報
防大は神奈川県横須賀市にある大学校であり、学生舎からは東京湾と対岸の木更津が見える小高い丘の上に立地しています。卒業すれば学士号が授与される点は一般大と同じですが、学生の身分は「公務員」ということになるので勉強しながら給料を貰うことができます(筆者は手取りで毎月約8万円貰っていました。今はもう少し上がっていると思います)。勿論学費は無料です。
防大を卒業するとそのまま陸海空の幹部候補生学校に進学することとなり、そこを卒業して晴れて幹部自衛官として働き始めることとなります。卒業してすぐの階級は「三尉」、いわゆる「少尉」ですね。この時点で年上の部下がぞろぞろ発生します。責任重大ですね。

・どんな人がいるの?
基本的に、一般の大学のように高校を卒業してすぐに入校する学生が殆どです。一浪、二浪の学生も珍しくありません。防大の入試は受験料が無料であり、かつ早い時期に入試があるので滑り止めとして使う学生が非常に多く、第一志望の大学に落ちたので已む無く防大に来たという学生もかなり居ました。防大生は福岡県民が多いので、九州大学が第一志望だった学生などは探せばすぐに見つかります。
ちなみに、入校には年齢制限があるので一般大のように社会人学生を受け入れることはありません。
また、防大は海外からの留学生をかなり受け入れており、全学生の1割程度の人数の留学生が常に在籍しています。留学生の出身地は大抵東南アジアかモンゴルですが、年に一回アメリカやドイツからの留学生が1~2週間程度滞在することがあります。
防大卒の著名人には、私が在籍中に防衛大臣だった中谷元さんや、宇宙飛行士の油井亀美也さんなどが居ます。卒業生は殆どが自衛官になるのでそこまで有名人は多くないですね。

今回の記事は以上です。次回は防大生活の一日についてお伝えしたいと思います。
興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。