将来のXR分野の発展

 前回はVRエンジニアに求められる3つのスキルについて説明してきました。今回はVRエンジニアが学ぶべきプログラミング言語を紹介していきます。VRエンジニアが学ぶべきプログラム言語として「Java Script」「C#」「BluePrint」「Ruby」「GO」の5つがあります。
 まず、1つ目の「Java Script」。Java ScriptはWebアプリケーション開発の際には使用頻度が高いプログラミング言語で、Webページ制作には欠かせません。VRエンジニアとしてだけではなく、エンジニアとして活躍するためには、学ぶべき必要があるプログラム言語で、ゲーム開発でも活躍する言語と言えます。また、Java Scriptはコンパイル不要で、特別な開発環境を整える必要も無いという特徴があります。
 2つ目は「C#」。C言語をベースに開発されたオブジェクト指向のコンパイラ言語で、ゲームエンジンUnityで利用されています。このため、Unityを使う方は必ず学ぶべき言語です。Unityは直感的に利用できるゲームエンジンですが、より細かな部分にこだわる場合C#を使うことになるので、VRエンジニアとしてUnityを使うなら細部にこだわる必要があります。難易度は少し高いものの、日本語ベースの情報がネット上に多くあり、学ぶ環境は十分に整っています。
 3つ目は「Blue Print」。ゲームエンジンとしてUnreal Engineを使う場合に必須となるのがBluePrintです。ビジュアルスクリプティング言語と呼ばれるプログラム言語です。一般的なプログラム言語が上から下に流れるのに対し、BluePrintの場合は左から右へと流れていく特徴があります。文法で入力していく言語とは異なり、ノードという窓を線でつないでいく方法でプログラミングしていきます。
 4つ目は「Ruby」。RubyはWebアプリケーションの開発で使われることが多いプログラミング言語です。「クックパッド」や「Twitter」はRubyを使って作られています。VRエンジニアとしてだけではなく、Web系エンジニアには必須のプログラミング言語といえます。日本で開発されたプログラミング言語ということもあり、日本語の参考資料が多い特徴があります。文法も分かりやすいため、日本人エンジニアには使いやすいでしょう。
 5つ目は「GO」。プログラム言語の中でもエンジニア泣かせともいえるのがコンパイラ言語でしょう。記述が難しく難易度が高いコンパイラ言語ですが、GOは記述がシンプルで分かりやすいプログラム言語です。GOはアプリケーション開発をはじめ、Webサーバーの開発に使われます。エンジニアとして覚えておきたい言語の1つと言えます。
 ITエンジニアの中でも、VRやARのエンジニアの需要はとても高い状態です。5Gが普及すればVRコンテンツに参入する企業も増えてくることが予想され、VRエンジニアの需要はさらに増す事が想定されます。故に、駆け出しのエンジニアではなく、実務経験やスキルが高いエンジニアが求められます。実績が少ない方は、まずは実績を積める職場選びをすることで、将来ステップアップしていけます。

将来のXR分野の発展

 前回は動画配信サービス分野でVR技術の活用例について説明させて頂きました。今回はVRエンジニアになる

ために必要になってくるであろう3つのスキルについて説明させて頂きます。さまざまな分野で活用されている

VR技術を支えるVRエンジニアとなるために必要となるスキルがあります。「3DCGデザイン」「動画編集」

「ゲームエンジン」の3つについて具体的に見ていきます。

 まず、1つ目は「3DCGデザイン」です。VRエンジニアとして仮想現実の世界を作り出すためには、3DCGデ

ザインのスキルは不可欠です。VRエンジニアの多くは、まず3DCGデザイナーとして立体や空間表現の技術を学

び、経験を積み重ねたうえでVRエンジニアを目指しています。デジタル技術ではありますが、ものを正確に表

現するためのデッサン力、さらに仮想現実を作り込む発想力や想像力も持ち合わせる必要があります。

 2つ目は「動画編集」です。仮想現実世界はCGだけではなく、360度カメラで撮影した動画を編集することで

も作成されます。つまり、VRエンジニアになるためには、動画編集技術も必要です。また場合によっては自ら

360度撮影カメラを操作し撮影することもあるでしょう。そうなると360度撮影カメラの扱い方をはじめ、撮影

するための技術もVRエンジニアは持ち合わせていると良いと言えます。

 3つ目は「ゲームエンジン」です。VR技術をけん引する分野といえばやはりゲーム業界でしょう。VRエンジ

ニアとしてゲームエンジンスキルを持ち合わせることは必須です。VR技術を活用したゲーム開発では、主に2つ

のエンジン「Unreal Engine」と「Unity」を用います。Unreal Engineはゲームエンジンです。格闘ゲームの中で

も知名度が高い「ストリートファイターV」や「鉄拳7」などもこのUnreal Engineを採用し制作されました。

ゲーム制作のためのライブラリをはじめ、ゲームの統合開発環境も提供され、企業だけではなく個人でも効率よ

くゲーム開発が行えるゲームエンジンです。Unityは全世界で多くの開発者が使用しているといわれるゲームエン

ジンです。「ポケモンGo」や「白猫プロジェクト」でも使用されたゲームエンジンで、さまざまなプラット

フォームでゲーム制作ができます。マウスを操作することで直感的にゲーム作りができるため、コードが読めな

い人でも安易にゲーム作りが行えます。

将来のXR分野の発展

 前回まで、軍事・防災分野と続けてXR技術の活用例について説明していきました。今回はガラッと変わっ

て、動画配信サービス分野での活用例について説明していきたいと思います。

 VRとは、ご存知だとは思いますが、「Virtual Reality」の略称で、日本語にすると「仮想現実」と言う意味で

す。仮想現実を体験する方法は目を覆う大きなゴーグルを装着して、視界の全方位を占める映像がゴーグルに映

し出されます。想像しやすい例として動画のリンクを貼っておきますが、動画内でジェットコースターに乗って

いる乗客視点の映像が映し出されており、本当にジェットコースターに乗っているような大迫力のスリルを味わ

えそうです。実際に活用されている例を2点挙げて、動画のリンクも貼っておきます。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的として、政府が大規模イベントの自粛要請を行い、各所でライブイ

ベントが中止となる中、2019年3月、HIP HOPアーティスト「AK-69」が行った日本武道館での単独公演にて、

VRマルチアングルの生配信が行われました。HIP HOPアーティストが日本武道館で行ったライブを、VRで生配

信する取り組みは初めてのことでした。アングルは、客席に設けられた「アリーナ中央」「アリーナ後方」さら

に「ステージ前」「ステージ後方」の4つが用意されています。武道館の客席にいるような感覚で、現地と同じ

時間にライブを楽しめるだけでなく、現地では見られない「最前列より前の視点」、「ステージ前からの景色」

を楽しむことができます。無観客となった状況を逆手取り、VRに特化したステージングが可能になったことか

ら、普段とは違うライブ空間を提供していました。

 前者のように既存のコンテンツにおける体験を広げる目的で活用されることの多いVRですが、それだけでな

く、VRを新たな表現技法として活用した、ストーリー性のある映像作品も世界各国で制作されています。全世

界で行われている映画祭でも、VR作品が取り上げられており、「世界3大映画祭」の内、カンヌ国際映画祭と

ベネツィア国際映画祭ではVRの部門が設けられています。この内、ベネツィア国際映画祭には、日本からフル

CG作品「Feather」が出品され、VR部門「Venice Virtual Reality」にてプレミア上映されました。作品のあらす

じは大体以下の通りです。Featherは小さな人形の少女がバレエダンサーになる夢を目指す物語です。古い屋根

裏部屋にひっそりと置かれているドールハウスの中で、ストーリーは繰り広げられます。Featherとは「勇気」

や「励まし」の意味を内包するシンボルです。白くて軽くて、フワッとした羽の形をしています。少女が何らか

の壁にぶつかった時、体験者の元にFeatherが現れます。体験者は少女を見守るだけでなく、Featherを掴んで少

女に手渡すことで、インタラクティブに作品の世界と関わることができます。そして、少女はFeatherを受け取

りながら、スクスクと成長していき、バレエダンサーになる夢へと突き進んでいきます。動画を見てもらうと、

作品に入り込めるインタラクティブ性があることが特徴で、体験者の行動により、ストーリーが進んでいくとい

う演出が没入感をさらに高めています。5G時代の本格到来により、コンテンツホルダーにとっては「没入感」

をキーワードとした、保有するコンテンツの魅力を活用した更なる展開が期待できるようになるのではないで

しょうか。

将来のXR分野の発展

 前回は軍事分野でのVR技術の活用例について説明しました。今回は防災分野でのVR技術の活用例について説

明していきます。

 避難体験用のVRが開発されるようになったのは、VRを巡る技術環境として、ここ数年でハードが大きく進化

し、実用に充分耐えうる精度のハードが低価格で提供されるようになったことが実用化のきっかけです。また、

東日本大震災以降、日本全体の防災意識が高まっているという社会環境も大きな要因です。その意識の例として

東京消防庁が2018年度から仮想現実車を導入しており、大まかに言うと、映画館で近年採用されている体験型

(4D)上映システムとVRヘッドセットを組み合わせた移動車で、1億3000万円が投じられています。しかし、

防災意識が高まる一方では、実際の防災訓練、特に消防訓練においては大規模な準備が必要であり、運営人員の

確保その他、その実施は簡単ではありません。地震を模擬体験できる「起震車」なども確かに効果的ですが、起

震車の提供可能台数には限界があり、多数の訓練に活用するというわけにはいきません。さらに、従来の消防訓

練では集団での訓練が前提となりますので、多くの場合は前の人の後ろをついて走ることになり、実際の被災現

場で最も必要とされる個人の判断力を養うことは難しいです。これらの消防訓練に伴うさまざまな課題を抜本的

に解決するには、VRの活用が効果的であると言えます。

 今回紹介するのは、レノボ・ジャパンのVRヘッドセット「ミラージュ・ソロ」を活用した理経から発売され

ている「避難体験VR」です。「ミラージュ・ソロ」のおかげでPCとケーブル接続したり、スマホを装着したり

することなく、ゴーグルだけでVRを体験することができます。また、Googleが開発したVR技術「ワールドセン

ス」を採用したことで、これまで頭を動かして上下左右に移動しても映像が追従するようになり、ジャンプした

りしゃがんだり、覗き込んだりといった動きが可能となっています。緑色に光る避難誘導灯を頼りに自分で避難

経路を判断しながら、避難口を目指しますが、障害物を回り込んで避けたり、煙の濃い場所では低い姿勢で移動

したりと、こちらの避難体験VRは東京消防庁の着席式VRとは臨場感の方向性が違います。映像の世界と身体の

感覚が一致する体験は深く記憶に残るのではないでしょうか。

将来のXR分野の発展

 前回は医療分野でのVR技術の活用例について説明しました。今回は軍事分野でのVR技術の活用例について説

明していきたいと思います。

 最近公開されたレポート「Military Augmented Reality Market to 2025」によると、AR/VRを用いた防衛の市場

規模は2025年までに17.9億ドル(約2,000億円)規模になると予測されています。2017年の市場規模5.1億ドル

(約570億円)と比較すると、約4倍近くに拡大しており、VR/AR/MRを軍事訓練に導入する動きが広がってい

ルことが分かります。このように、軍隊・防衛分野でのAR/VR活用が進んでいる背景には、これらの技術を導入

する事の費用対効果の高さ、そして、実際の機器を用いてのリアルな戦闘場面を再現することの難しさがありま

す。故に、増大する危機や予算の制約に直面する軍の組織はシミュレーションやトレーニングを活用できる

AR/VR技術を歓迎しています。また、軍需産業で開発されたVR技術が、逆に消費者向けVR市場で活用されると

いう循環も予測されています。防衛向けのAR/VR技術はトレーニングの特別な用途に向けて開発されるもので、

例えばパイロットのトレーニングに使う高解像度のヘッドセットなどがあります。これらは現在、特別な一部の

デバイスでしか対応できませんが、製品ロードマップを見てみると、今後数年で高コスト、複雑なデバイスも一

般市場向けに普及してくる傾向が見られます。一方、軍事訓練にAR/VR技術を用いる際の問題点として、ゲーム

を使って兵士の訓練を行うことの倫理上の懸念があります。しかし、軍事向けのAR/VR利用はまだ発展途上にあ

り、その効果について結論を出すのは早急です。少なくとも今後、防衛分野で利用が進むことは間違いないと考

えられます。ここからは軍事分野でのAR/VR利用について下記のような事例を紹介していきます。

 今回紹介するのは、「AR技術で地中の危険物をビジュアル化」する事例です。軍隊の業務はハードです。その

中でも、爆発物処理班は金属探知機などを使って、ゆっくりと一定のペースで地面をスキャンし、隠れた異物を

検知する音を聞き分けます。少しでもペースを乱せば、危険が待ち構えているので、彼らのストレスは相当なも

のであることが窺えます。この状況を改善すべく、米国の軍事機関The Communications-Electronics Research,

Development and Engineering Centre(CERDEC)は、ARヘッドセットやモバイル端末を使い、危険物の探知をビ

ジュアル化する取り組みを開始しました。動画のリンクを記事の下部に記します。この技術を用いた金属探知機

を動かすと、地中に隠れた物体の形やデジタルイメージがディスプレイに投影されます。イメージはやや不鮮明

ながらも、異物のあるエリアは赤や黄色の明るい色で投影され流ので、より危険の少ないエリアを見分けること

ができます。さらに、一度エリアをスキャンして情報を収集すると、データはバーチャルな地図にまとめられ、

軍のネットワークを経由し、同じエリアにいる爆破物処理部隊のヘッドアップディスプレイ(HUD)に表示し、エ
リア内の危険物の状況を共有します。また、この技術の特徴として、どのような機器でも使用できることが挙げ

られます。従来の探知技術では、機器ごとに用途に応じて異なるセンサーを搭載していますが、今回のARを用

いた技術では、手持ち式の探知機からロボット、ドローンにまで広く応用が可能です。

地中の危険物をビジュアル化 https://www.youtube.com/watch?v=lll2ShV66Zg&feature=emb_title

将来のXR分野の発展

 前回は主流のゲーム分野でのVRの活用事例について説明しました。今回は医療分野での

VR活用事例について紹介していきたいと思っています。
 
 医療分野でVR技術が活用されることには多くのメリットがあります。例えば、「医者や

歯医者の手助けになる」、「名医や勘に頼らなくて良くなる」、「患者への説明が楽にな

る」、「患者への負担の軽減になる」、「医学教育に役立つ」、「遠隔医療への期待」、

「リハビリへの応用」などの他にもこれから明らかになる部分も多いので、使い道はさらに

増えると期待されています。VRを使うことで、今まで見えにくかった患者さんの患部が見

やすくなったり、治療すべき所を示してくれる事で治療が簡単になります。今までで医療者

の勘に頼っていた所もVRで視覚的に解析する事で、医療者なら誰でも再現可能な技術に変

える事ができます。また、患者さんへの説明にVRを用いる事でビジュアルで説明する事が

できるので、より簡単な説明で患者の心理的な負担を軽減し、患者と医療者が互いに納得し

て治療に向かう事ができます。さらに、今までは平面でしか見ることのできなかった体の内

部を立体感を持って見る事ができるため、手術もいずれはVRで体験する事ができるように

なり、医学教育の現場で大いに役立つと考えられます。

 実際の活用事例について2つ紹介していきます。動画のリンクを貼っておくのでそちらも

ご覧ください。1つ目は歯科医療機器メーカーモリタが挑む最新のMR活用例です。歯医者

さんはヘッドセットをつけて治療するので、画面に映し出された情報と現実の映像を利用し

ながら治療できるMRを開発しています。動画内では、VRでメニュー画面が表示され、AR

で手に持っている器具が映し出されている事が分かります。治療の際にVRでガイドを表示

する事で歯医者さんの手助けになると共にレントゲン写真などもその場で見れるようになる

のでより効果的な患者さんのデータの活用が可能になります。2つ目はアメリカのデューク

大学で行われている歩行訓練の際のVR活用例です。歩行訓練の対象となるのは脊髄損傷に

より自力歩行のできない患者さんがVRで歩行画面すなわち自分の足元を写したものを見な

がら、その時に生じる脳波を用いて歩行をするというものです。動画内では少しづつではあ

りますが、訓練を重ねた患者さんが歩けるようになっている様子が分かります。訓練を続け

た患者さん全員が足先の感覚や運動能力を実感したという結果によって、VRが医療分野に

おいて十分に役立つ事、また他の機器と合わせる事でより難しい病気の治療にも使える可能

性を示しています。

株式会社モリタ https://www.youtube.com/watch?v=EGhq_WRbj-w&feature=emb_title

デューク大学 https://www.youtube.com/watch?v=pb36O-Yotac&feature=emb_title

将来のXR分野の発展

 前回、海外の車企業(レクサス、ポルシェ)のXR技術の活用事例について説明しまし

た。今回はVR技術の現在の主流分野であるゲーム分野の製品について紹介していきたいと

思います。
 
 今回紹介するのは「VR」というワードを最も世間に浸透させたSonyの「PlaystationVR」

です。PlaystationVRとはPlaystationプラットフォーム向けとしては初のVR対応ヘッドマウ

ントディスプレイです。別の世界入っているかのような感覚を生み出すVRの仕組みは、大

きく2つに分解すると理解がしやすいです。1つ目は「両目の焦点に対して別々のアプロー

チをしている」。2つ目は「人の体の動きを捉え、それにあった適切な映像を見せている」

という2点です。

 まず、1点目に挙げた両目に対するアプローチの差異についてですが、人が周囲の景色を

立体的だと認識するにはこれから述べる4点が重要になってきます。1つ目は「特定の対象

物を見たときの、両目が捉えた情報の情報の違い(右目と左目で見ている対象物の面が異

なっているか)」。2つ目は「左右の目と特定の対象物の3点を結ぶ角度」。3つ目は「人

の運動と資格の変化の相対性(自分が動いた事で視覚にも影響しているのか)。4つ目は

「対象物に対する左右の水晶体のピントのずれ」。この内、VRにおいては1つ目から3つ

目に対して効果的なアプローチがされており、ヘッドマウントディスプレイにおいて両目に

流す映像を変え、プレイヤーの動きに合わせた映像を常に見えている仕組みになっていま

す。それらを可能にするのが、2つ目の「トラッキング機能」です。

 トラッキング機能とは、赤外線などを使って特定の対象のポイントや移動を認知する機能

を指します。VR体験においてはヘッドセットのカメラに内蔵されたセンサーが赤外線を発

して、目や頭の動きを捉えており、その位置に応じて360度の映像の中で正しい角度の映像

を流しています。VRで現在、使われているトラッキング機能は4つあり、「ヘッドトラッ
キング」、「ポシショントラッキング」、「モーショントラッキング」、「アイトラッキン

グ」の4つです。「ヘッドトラッキング」とは、頭や首の動きを捉える機能を指します。顔

を上下左右に向けるとそれをセンサーが認知し顔の動きに合った映像が映し出され、CGの

世界でも上下左右の景色を楽しめるという仕組みです。「ポジショントラッキング」とは、

HMDの位置の変化を認識し、前に進んだり、横にずれたりした時、VRの世界でも移動して

いるという機能です。「モーショントラッキング」とはオブジェクトの動きを追跡する技術

であり、VRにおいてはプレイヤーの動きを認知してCGの世界でプレイヤーの動きを反映さ

せる機能です。最後に、「アイトラッキング」とは視線の動きを認識するもので、プレイ

ヤーの眼球の動きを検知し、映像を視線に合わせる機能です。これら4つの機能が十分な性

能すなわち、プレイヤーの動きに対する映像の変化の誤差が少なかったり、映像のフレーム

や解像度といった映像の精度が高いほど、酔いづらくCG世界に没入する事ができます。

将来のXR分野の発展

 前回、トヨタ・日産といった日本の車企業のXR技術の活用事例について紹介しました。

今回は、海外の車企業のXR技術の活用について迫っていきたいと思います。記事の下部にそれらのリンクを

貼っておきます。

海外の一部の市販車では既にAR技術を活用した機能を使用する事ができ、今後広く一般に普及する事が期待

されます。ドライバーは走行中にメーターやナビゲーションシステムの行き先案内を確認する場面があります

が、それらの一瞬の間は前方確認ができません。AR技術を活用して前方の風景に計器類の情報を加えること

で、視線を変えずに速度を確認することができます。フロントガラスにメーターの情報を投影する技術を用いれ

ば、専用ゴーグルを使用しなくても拡張現実感が得られます。この技術は軍事航空分野において開発されたもの

であり、今や軽自動車でも標準装備が増えているヘッドアップディスプレイですが、レクサスLSの現行型では、

衝突の可能性がある前方の歩行者の位置を大型カラーヘッドアップディスプレイ上で注意喚起する「歩行者注意

喚起」機能などでARを活用しています。カーナビと連動させることで、交差点などの風景画像上に進行方向を

示す印を追加して表示させるといった方法もあります。実際の風景画像を使用してガイドをしてくれるカーナビ

があれば、地図が苦手なドライバーでも簡単に正しい道順が確認できます。

 また、ドイツの自動車メーカーであるポルシェが、自動車へのVRコンテンツ導入を計画しています。発表に

よれば、VRコンテンツはドライバー以外の同乗者が、走行中に楽しめるものとして開発されているとのことで

す。導入には、ドイツのスタートアップHolorideのVR技術とコンテンツが使用されます。Holorideは、VR技術と

自動車での使用を想定したコンテンツの制作を行っている企業です。動画を見てもらうと分かりますが、セン

サーが走行中の車両の動きを検知し、VR内に反映しており、同乗者が車内で退屈しない様子が伺えます。ポル

シェは、車両へのVR導入を2021年に実現することを計画しています。

レクサス https://www.youtube.com/watch?v=dler3wTUnek

ポルシェ https://www.youtube.com/watch?v=DTSwWV7l8b4&feature=emb_title

将来のVR分野の発展

 今回は前回言っていた通り、様々な分野でのVR技術の具体的な利用法について説明していきます。

今回紹介するのは、私がVR技術に興味を持ったきっかけの一つである自動車分野でのVR技術の活用例です。

去年、大学でトヨタ、日産の方達に講師を勤めて頂き、集中講義を行って頂きました。その中で、VR技術を乗

用車に取り入れたり、先進安全技術のシミュレーションをHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いて行ってい

ました。下記にトヨタ、日産の記事のリンクを貼ります。

 動画を見て頂くとどちらも没入感に優れている事が分かります。トヨタの方では、自動ブレーキと踏み間

違い時サポートブレーキについて紹介していました。前者は前方車両を検知し、衝突の可能性がある場合、警報

ブザー・ディスプレイ表示で危険を知らせます。もし、ブレーキが踏めなかった場合、被害を軽減したり、衝突

を回避するために自動ブレーキが作動するというものです。後者はコンビニなどの駐車時に間違えてアクセルを

踏んだり、低速走行時に障害物にぶつかりそうになった時、エンジンの出力を抑制し、ブザー音とメーター内表

示で知らせます。さらに距離が縮まった場合、ブレーキをかけ、衝突回避、または衝突軽減のサポートをすると

いうものです。これらを体験した人達の反応は皆一様に実体験したかのようでした。また、「このようなシステ

ムがあるなら確かに安心だ。」と述べており、安全技術を搭載した車への購買意欲を示していました。日産の方

では、第5世代移動通信方式(5G)を使用し、「Invisible to Visible」(I2V)技術を走行中の車両で活用する実

証実験を紹介していました。5Gとは高速で大容量の通信ができ、遅延が少なく、さらに多数の機器に同時に接

続ができるという3つの特徴を持った通信方式です。「Invisible to Visible」とはリアルとバーチャルの世界を融

合し、ドライバーが見えないものを可視化するという未来のコネクテッドカー技術の一つです。また、仮想世界

の「メタバース」と繋がることでサービスやコミュニケーションの可能性を無限大に広げ、ドライビングをより

便利で快適、エキサイティングなものにしていきます。この技術による利点は2つあります。1つ目は「ドライ

バーはより自信を持って運転を楽しむ」事ができます。車内外のセンサーが取集した情報とクラウド上のデータ

と合わせて、車の周囲の情報だけでなく、前方の状況を予測したり、通常では見ることのできない建物の裏側や

カーブの先の状況をドライバーの視野に投影する事ができます。2つ目は「車内で過ごす時間をより快適で楽し

いものにする」事ができます。メタバースとドライバーや乗員が繋がる事で、離れた場所にいる家族や友人が3

Dのアバターとして車内に現れ、一緒にドライブしたり、運転をサポートしてくれたりなどして、双方向のコ

ミュニケーションをとる事ができます。

トヨタ https://www.youtube.com/watch?v=HfsDepLvsDs&feature=emb_title

日産 https://www.youtube.com/watch?v=5ZPEOgmIm7Y

将来のVR分野の発展

この記事では将来のVR分野の発展について纏めていきます。

米国で VR の根本となるテクノロジーが登場したのが 30〜40 年ほど前、周辺領域の研究が過熱したのが、90 年

代に入ってからでした。2000 年代に入ると、AR アプリの先駆者「セカイカメラ」が登場、2010 年頃にVTuber

が登場して、国内でも VR・AR が少しずつ認知されていきました。以降 は、数年でゆっくりと拡大して、「

Oculus Rift」「Microsoft HoloLens」「HTC Vive」 「PlayStation VR」といった HMD の発売、AR ゲーム「

Pokémon GO」の大流行、人気 VTuber「キズナアイ」のデビューなどによって、“VR 元年”と呼ばれる 2016 年

に至った という流れです。また、VTuber が世間に浸透していったのと並行して、VR の中の世界とSNS、リア

ルを横断しながら生活する“VR 市⺠”が登場し、存在感を示すようになりました。“VR 市⺠”とは、VR を用いた

自己表現やライフスタイルの実現を求める層で、Vケットへの参加をはじめ、VR 世界の中でのクリエーティブ

や経済の循環に乗り出しています。2019 年 12 月に発表された IT 専門調査会社(IDC Japan)の市場予測による

と、世界のAR・VR のハードウェア、ソフトウェア及び関連サービスを合計した支出額は、2018 年は 89.0 億ド

ルでしたが、2019 年には 168.5 億ドル、2023 年には 1,606.5 億ドルに達する見通しで、2018 年から 2023 年

にかけての年間平均成⻑率は 78.3%と試算されていました。

以上のことから、VR は「ゲームや映像を楽しむもの」という認識から一歩進んだものとなりつつあるといえる

でしょう。「VR や AR でこんなことができたらいいな」と、みんなが想像していたことが具体化した年と言え

る 2019 年から今後、「あるほうが便利なもの」「ないと困るもの」として、VR・AR が仕事や生活における実

用的なツールとして浸透していくことが考えられます。

次回から、今後、様々な分野で利用されるであろうVR技術と社会の融合の一端の具体例について紹介していき

たいと思います。